日本大百科全書(ニッポニカ) 「突ん棒漁業」の意味・わかりやすい解説
突ん棒漁業
つきんぼうぎょぎょう
海洋の表層を遊泳するカジキ類やマグロ類などを、銛(もり)を投げてしとめる漁業をいう。銛は雑漁具の一種で、鋼鉄の鋭利な先端を有し、突き刺した魚が脱落しないように、釣り鉤(ばり)の「あぐ」に似た「かえし」のあるものを用いる。銛竿(もりざお)は長さ3~4.5メートル、径4センチメートルのカシ材などでつくられており、先端に銛がつけられる。尾柄(びへい)部には、銛で突いたあと、魚を扱うための「やな」とよばれる綱が結ばれている。漁船は10~40トン、80~200馬力、乗組員3~15人、サンマ棒受(ぼううけ)網などほかの漁業との兼業船が多く、船首に銛を投げるための台が突出している。一年中、日本近海の太平洋および東シナ海で操業され、とくにマカジキ漁場として、4~5月の房総近海、2~4月の伊豆七島、11月から翌年1月の銚子(ちょうし)沖が知られ、1~3月の東シナ海および6~9月の三陸近海のメカジキ漁場も著名である。
[笹川康雄・三浦汀介]
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