精選版 日本国語大辞典 「突出」の意味・読み・例文・類語
つき‐だし【突出】
〘名〙
① 突き出すこと。後ろから前の方へ出るようにすること。
② 突き出ていること。また、突き出ているもの。でっぱり。
③ 江戸時代の遊里で、禿(かぶろ)の時期を経ないで、一四、五歳の頃、すぐに遊女となって客に接すること。また、その遊女。後には、広く、はじめて遊女や芸者となって客の前に出ることにもいう。突出女郎。つきいだし。
※評判記・色道大鏡(1678)一「十四五歳・十五六歳にて其家へ来り、其儘傾城に仕立出すを突出(ツキダ)しといへり」
④ 料理屋などで、本料理の前に出す小鉢物など。また、酒の肴となるちょっとしたつまみ。
※酒肴むりもんだふ(1830‐44)「突出しの肴といふがごとし」
※桐畑(1920)〈里見弴〉二つの心「上方風のうまいつき出(ダ)しで一杯始めながら」
⑤ 物の突きはじめ。撞(つ)くことの最初。
⑥ 相撲のきまり手の一つ。てのひらを相手の胸や肩へ突き当てて突っ張り、相手を土俵外へ出す技。
⑦ 緡(さし)一本に一〇〇文貫いた、いわゆる百刺しを前に突き出すこと。つまり賭金を前に積むこと。
※洒落本・一騎夜行(1780)二「壱匁迯何本突出(ツキタ)し」
⑧ 点取俳諧で、点の掛からない句。
※当流関船寸法書「つき出し巾、五に二寸九分掛、又は三寸、但しかき入は外にして」
⑩ 指物(さしもの)の名。
※武用弁略(安政再板)(1856)五「突出(ツキダシ)」
とっ‐しゅつ【突出】
〘名〙
① つきやぶって出ること。勢いよく前に出ること。〔文明本節用集(室町中)〕
② 高く、または長くつきでること。凸出。
③ だしぬけにとびだすこと。急につきでること。
※譬喩尽(1786)一「突出(トッシュツ)難レ弁〈略〉ぴょいとなり」 〔韓非子‐外儲説右下〕
④ 他より目立って多いこと。他より図抜けること。
つき‐・でる【突出】
〘自ダ下一〙
① 覆いや壁などを突いて出る。突き破って出る。
※雑嚢(1914)〈桜井忠温〉八「千余の守兵が要塞外に突(ツ)き出(デ)た」
※水の葬列(1967)〈吉村昭〉一「下萌えの新芽が突き出ていて」
② ふいに出る。ぐっと前へ出る。さっと出る。
※真空地帯(1952)〈野間宏〉六「皮の厚そうな顔がぬっとつきでてきたとき」
③ 高く、または長く出る。ある部分が前や上に出張る。
※尋常小学読本(明治三六年)(1903)〈文部省〉七「松のはえた、白い砂地が、海の中に、つき出てゐて」
つつき‐だ・す【突出】
〘他サ五(四)〙
① つついて外に出す。
※爛(1913)〈徳田秋声〉五二「田舎を騒がして、突つきだすと云ふ方法もある」
② 欠点や問題点をわざわざ指摘して問題とする。
※志都の岩屋講本(1811)上「其れをそこいぢわるく、邪魔を入れつつき出し」
つん‐だ・す【突出】
〘他サ四〙 いきおいよく出す。
※巨海代抄(1586‐99)上「亦たつん出して是れ何ぞ。云く夫れは塵きれよと云はれて」
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