窶れる(読み)ヤツレル

デジタル大辞泉 「窶れる」の意味・読み・例文・類語

やつ・れる【×窶れる】

[動ラ下一][文]やつ・る[ラ下二]
病気心労などで、やせ衰える。「病気で別人のように―・れてしまう」
見栄えのしないようすになる。みすぼらしくなる。
「いと若かりしほどを見しに、太り黒みて―・れたれば」〈玉鬘
人目につかないように、服装などを粗末にする。みすぼらしい姿になる。
「いと忍びてただ舎人二人召し継ぎとして―・れ給ひて」〈竹取
落ちぶれる。
「かく―・れたるに、あなづらはしきにやと」〈・明石〉
[類語]窶れ面窶れ旅窶れ所帯窶れ・頰がこける・青瓢箪痩せる細るせ細るける痩せこける痩せさらばえる憔悴しょうすいする肉が落ちるほっそりするスリムになるひょろっと長身長躯のっぽ背高八頭身ひょろ長い・立っ端がある・ひょろひょろひょろり細い痩身痩躯細身やせやせっぽちやせぎすか細いほそやか細細ほそぼそ細め極細細作り華奢きゃしゃ細める着やせげっそりすらりすらっとスレンダーソップ形がりがりぎすぎす痩せ枯れる痩せ衰えるスマートになる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「窶れる」の意味・読み・例文・類語

やつ・れる【窶】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]やつ・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
  2. 服装など、見たところがみすぼらしくなる。粗末な様子になる。
    1. [初出の実例]「君しのぶ草にやつるるふる里は松虫のねぞかなしかりける〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)秋上・二〇〇)
  3. 地味で人目につかない様子でいる。見栄えのしない服装になる。
    1. [初出の実例]「いと忍ひて、ただ舎人二人召しつぎとしてやつれ給て」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  4. 喪服姿になる。
    1. [初出の実例]「くろき御車のうちにて、ふぢの御たもとにやつれ給へれば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)賢木)
  5. 病気や心労、積もる年齢などのために、肉体が衰え、見苦しくなる。やせ細る。憔悴(しょうすい)する。
    1. [初出の実例]「いたうやせ衰へて、御髭なども、とりつくろひ給はねば、しげりて、親の孝よりも、けにやつれ給へり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)柏木)
  6. 落ちぶれる。
    1. [初出の実例]「いと、かくやつれたるに、あなづらはしきにやと」(出典:源氏物語(1001‐14頃)明石)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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