竜田(読み)タツタ

デジタル大辞泉 「竜田」の意味・読み・例文・類語

たつた【竜田】

奈良県生駒斑鳩いかるが町の地名三郷さんごう町の竜田大社から勧請かんじょうしたといわれる竜田神社がある。
謡曲四番目物旅僧が大和国三郷の竜田明神に参拝すると、竜田姫の霊が現れて明神の縁起を語り、紅葉をめでて神楽かぐらを舞う。

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精選版 日本国語大辞典 「竜田」の意味・読み・例文・類語

たつた【龍田・立田】

  1. [ 1 ]
    1. [ 一 ] 大和国(奈良県)北西部を流れる龍田川下流の大和川との合流点に近い地域。古来河内国(大阪府)と大和国を結ぶ交通の要地。現在の奈良県生駒郡斑鳩(いかるが)町・三郷(さんごう)町の一帯にあたる。龍田の里。
      1. [初出の実例]「三百の軍士を率て、龍田に距かしむ」(出典:日本書紀(720)天武元年七月)
    2. [ 二 ] ( 龍田 ) 奈良県生駒郡の旧町名。昭和二二年(一九四七法隆寺村・富郷村と合併して斑鳩(いかるが)町となる。
    3. [ 三 ]たつたがわ(龍田川)[ 二 ]」の略。
    4. [ 四 ]たつたじんじゃ(龍田神社)」の略。
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 香木の名。分類は伽羅(きゃら)。香味は辛苦。六十一種名香の一つ。香りが御吉野に並ぶところからの名。
    1. [初出の実例]「立田。ききほのかにして、さながらすずしきなり」(出典:名香目録(1601))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「竜田」の意味・わかりやすい解説

竜田
たつた

奈良県北西部、生駒(いこま)郡斑鳩(いかるが)町の一地区。旧竜田町。矢田丘陵南麓(なんろく)を占め、竜田川沿いは古くからもみじ名所として知られ、県立竜田公園がある。龍田神社は、法隆寺建立の際に鎮守として龍田大社(三郷(さんごう)町)から勧請(かんじょう)したといわれる。江戸時代初期には片桐(かたぎり)氏竜田藩の陣屋町であり、また大坂街道に沿う街村であった。

[菊地一郎]

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改訂新版 世界大百科事典 「竜田」の意味・わかりやすい解説

竜田 (たつた)

奈良県生駒郡斑鳩(いかるが)町,三郷町にわたる地域の名。三郷町立野の竜田大社,斑鳩町竜田の竜田神社が地域の核で,大和川が大和盆地から生駒山脈を横切って大阪平野に流出する大和側の入口に位置する。観光の中心で,歌枕の竜田川は北方平群(へぐり)谷を発して南流し大和川に注ぐ。両岸カエデが多い。古くは大和川本流を竜田川と称した例もあるが,謡曲《竜田》では今の竜田川である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「竜田」の意味・わかりやすい解説

竜田
たつた

天竜型軽巡洋艦」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の竜田の言及

【モミジ】より

…この時代には紅葉狩りや紅葉合せ等の遊びが盛んになされ,とくに京都の嵐山は紅葉の名所として,絵画や文学の素材とされた。また春の女神である東の佐保姫に対し,秋の女神の竜田姫は西にあり,大和の竜田は紅葉の名所とされ,多くの歌が作られた。民間では,秋の山の紅葉を見て作柄や天候を占う風があり,単にその美しさをめでるばかりではなかった。…

※「竜田」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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