競い(読み)キオイ

デジタル大辞泉 「競い」の意味・読み・例文・類語

きおい〔きほひ〕【競い/勢い】

張り合うこと。競争すること。
強い勢い。気勢
「墨摺流すりながす空の―夕立の雨の一しきり」〈二葉亭浮雲
競い肌」に同じ。
職人らしき―の風」〈露伴五重塔
競い馬」の略。
「その時の御勝負には…十番の―にてありしよな」〈虎明狂・横座

きそい〔きそひ〕【競い】

きそうこと。せり合い。競争。
仲間の―にるものなり」〈福沢文明論之概略

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精選版 日本国語大辞典 「競い」の意味・読み・例文・類語

きおいきほひ【競・勢・気負キおひ】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「きおう(競)」の連用形の名詞化 )
  2. ( 競 ) 優劣強弱、先後などを争うこと。はりあい。
    1. [初出の実例]「尼になりなんとおぼしたれど、かかるきほひには、慕ふやうに、心あわただしといさめ給て」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
  3. ( 形動 ) はげしい勢い。気勢。意気込み。また、それによって調子づくさま。余勢
    1. [初出の実例]「いと荒ましき風のきほひに、ほろほろと落ち乱るる木の葉の露の」(出典:源氏物語(1001‐14頃)橋姫)
    2. 「楚師を敗たるきをいに因て、陳蔡を又敗たぞ」(出典:史記抄(1477)一〇)
  4. ( 気負 ) 自分こそはといった考えや態度。
    1. [初出の実例]「仕事をしたと自負するでもなく、つまり『陽気市長』のやうな気負ひがなく」(出典:唐人お吉(1928)〈十一谷義三郎〉四)
  5. きおいさんじゅう(競三重)」の略。
    1. [初出の実例]「菅笠かが笠、かさ編笠、ハルキヲイ網を遁れて、三重出て行」(出典:浄瑠璃・義経千本桜(1747)一)
  6. 双六(すごろく)の手の一種。相手のじゃまになるところへ石を置くこと。
    1. [初出の実例]「双六の習ひには、をくれに三の積石(つもりいし)、きをひに二つの後石、重四先(じうしせん)の打返し」(出典:仮名草子竹斎(1621‐23)上)
  7. きおいうま(競馬)」の略。
    1. [初出の実例]「其時の御せうぶには十番のすまふ十番のきおひにて有しよな」(出典:虎明本狂言・横座(室町末‐近世初))
  8. ( 「侠」とも表記 ) 「きおいはだ(競肌)」の略。
    1. [初出の実例]「きほひの精霊じゃとて、棚経に悪対もよまれまい」(出典:談義本・教訓雑長持(1752)四)

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