評論家、独文学者。大阪に生まれ、幼時を京城(現ソウル)で過ごす。東京帝国大学独文科卒業後、旧制一高講師となる。1927年(昭和2)より3年間ドイツ留学、帰国後一高教授となったが、51年(昭和26)退職後は評論活動を続ける。ニーチェ研究家として知られるが、戦後、小説『ビルマの竪琴(たてごと)』(1948)によって広く読書界に迎えられる。以後『昭和の精神史』(1956)、『ヨーロッパの旅』(1959)、『日本人と美』(1970)などを刊行。時代のゆがみをヒューマニスティックな平衡感覚で指摘し正す態度を貫いた。
[福田宏年]
『『昭和の精神史』(講談社学術文庫)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…その間にあって,宮沢賢治,新美南吉の童話は想像ゆたかな物語性で異色を放ち,また幼年童話における浜田広介は独特な調子で近代説話を語り,それぞれ戦中・戦後にわたって広範な読者をもった。 第2次世界大戦後,平和と民主主義という新しい価値観の到来とともに,《赤とんぼ》《銀河》《子供の広場》など文化的・進歩的な児童雑誌の創刊があいつぎ,一種熱っぽい状況のなかで,石井桃子《ノンちゃん雲に乗る》(1947),竹山道雄《ビルマの竪琴(たてごと)》(1948),壺井栄《二十四の瞳》(1952)など今日にも残る作品が生まれた。これらはいずれも短編中心だった日本の児童文学にはめずらしい本格的な長編作品だったが,その作者がいずれも未明を中心とした童話文壇の人脈でないところから現れた点は象徴的である。…
※「竹山道雄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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