笠雲(読み)カサグモ

デジタル大辞泉 「笠雲」の意味・読み・例文・類語

かさ‐ぐも【×笠雲】

高い山の頂に、笠をかぶったようにかかる雲。
[類語]白雲はくうん白雲しらくも青雲紫雲茜雲黒雲暗雲彩雲浮き雲千切れ雲片雲横雲棚雲豊旗雲飛行機雲筋雲鰯雲鯖雲鱗雲薄雲羊雲群雲朧雲乱雲雨雲雪雲曇り雲霧雲積み雲綿雲入道雲雲の峰かなとこ雲雷雲夕立雲夏雲

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精選版 日本国語大辞典 「笠雲」の意味・読み・例文・類語

かさ‐ぐも【笠雲】

  1. 〘 名詞 〙 高い山の頂をおおう笠状の雲。気流山腹に沿って押し上げられて山を越すときに生じる。
    1. [初出の実例]「かさ雲は山のこし成あふき哉〈道之〉」(出典:俳諧・続山の井(1667)夏下)
    2. 「富士詣 朔日〈略〉朝(あした)毎に雲起りて山頂(いただき)を覆ふ。これを笠雲といふ。かの国の人云、その雲西へ行ときは三日を出ずして雨ふる。東へゆくときは天気快晴也と」(出典俳諧・俳諧歳時記(1803)上)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「笠雲」の意味・わかりやすい解説

笠雲
かさぐも

孤立した頂をもつ山の山頂付近に発生する笠状の雲。山岳が原因で生じる特殊な雲の一種富士山の笠雲はとくに有名で、秋から初冬にかけてしばしばみられる。阿部正直(まさなお)(1891―1966)は笠雲の形を詳しく観察して20種に分類した。温暖前線面が山頂付近に存在すると、前線面付近の大気の安定度が大きいので、気流は滑らかに山頂を越える。ある高度の湿度がその上下より高いと、その空気層が山を越えるとき、一定の高度以上で水蒸気が凝結して笠雲が生じる。したがって、笠雲の形は、気流が山を越える経路を示しており、風が強くても山頂の風下側に流されることはない。山の西側には温帯低気圧の中心が存在することが多く、このために笠雲は雨の前兆となる。

[木村龍治]


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百科事典マイペディア 「笠雲」の意味・わかりやすい解説

笠雲【かさぐも】

孤峰の山頂に笠をかぶったような形で現れる雲。湿った大気が山頂を越して波うつとき,上昇気流のところで水蒸気が凝結して雲となり,下降気流のところではその水滴は温度上昇によって蒸発する。したがって笠雲は定常的にかかってみえ,吹き飛ぶことはない。
→関連項目くらげ雲

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「笠雲」の意味・わかりやすい解説

笠雲
かさぐも
cap cloud

レンズ雲の一種で,山頂付近に現れる笠か帽子をかぶせたような形の雲。気流が山を越えるとき,断熱冷却して雲を生じ,風下の山麓におりてくるときは断熱昇温して雲を消失させる。そのため空気は常に入れ替っているが,雲は同じ場所にとどまっているようにみえる。富士山のような孤立峰でよく発生する。

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世界大百科事典(旧版)内の笠雲の言及

【雲】より

…これがかなとこ形に変化すると積乱雲である。 レンズ雲笠雲やつるし雲と同様に上層の風が強いときに地形の影響でできたレンズ状の雲。山越えの気流は,大気が安定で風が強いとき,比較的安定した波状の気流をつくるが,その凸状部にこの雲は起こる。…

※「笠雲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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