筆禍(読み)ひっか

精選版 日本国語大辞典 「筆禍」の意味・読み・例文・類語

ひっ‐か ‥クヮ【筆禍】

〘名〙 著書や発表した記事論説などが、官府の忌諱(きい)にふれて、制裁を受けること。また、書くことによって受けるわざわい。
※両足院本山谷抄(1500頃)三「去るほどに、坡がひっくゎにかかりて賓州へ流されつ、何としたぞ」

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デジタル大辞泉 「筆禍」の意味・読み・例文・類語

ひっ‐か〔‐クワ〕【筆禍】

発表した著書・記事などが原因官憲社会から受ける制裁または処罰。また、そのような災難。「筆禍にあう」「筆禍事件」
[類語]災い災害災難被害禍害惨害惨禍災禍被災天変地異天災人災地変風害風水害冷害霜害雪害干害渇水旱魃水涸れ病虫害虫害煙害公害薬害災厄凶事禍根舌禍試練危難国難水難水禍海難受難遭難罹災貧乏くじ馬鹿を見る弱り目にたたり目泣き面に蜂

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世界大百科事典 第2版 「筆禍」の意味・わかりやすい解説

ひっか【筆禍】

文字の獄。著書や新聞雑誌その他に発表した文章が,権力批判,風俗壊乱を理由に官憲の処罰の対象となり,体刑罰金,発売禁止などの処分をうけること。出版による文学言論の広範な普及に対処するために,国家機関が検閲制度を強化するにしたがって筆禍の事例は増加するが,日本では宮武外骨の《筆禍史》(1911)に〈筆禍の史実は此徳川時代に入りて,政治史の片影と見るべき社会的事象の一と成りしなり〉とあるように,木版印刷が盛行する江戸時代初期から,出版物の取締りがはじまっている。

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普及版 字通 「筆禍」の読み・字形・画数・意味

【筆禍】ひつか

文筆による禍い。

字通「筆」の項目を見る

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