簀立て(読み)スダテ

デジタル大辞泉 「簀立て」の意味・読み・例文・類語

す‐だて【×簀立て】

海中に簀を立てておき、干潮時に逃げおくれた魚を捕らえる漁法。また、その仕掛け。
円筒形の底のない竹かご。味噌醤油諸味もろみの中に立てて、こされて中に入った汁を取る。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「簀立て」の意味・わかりやすい解説

簀立て
すだて

定置漁具で、魞(えり)の一種。割り竹や木片で簀を編み、杭(くい)を立てて簀を張り、複雑な迷路とする。上げ潮時に簀の中に入り込んだ魚類が、引き潮時に逃げ場を失い、わずかに残った水や流入した藻に潜伏するものを、たも網で捕獲したり、手でとらえる仕組みである。

 簀立ては、構造が弱いため、水深が浅くて波浪が静穏な河川、湖沼内湾の岸近くに設置される。河川や湖沼などの淡水域ではコイフナなどが漁獲され、内湾ではスズキ、ハゼ、アイナメウミタナゴボラアナゴクロダイなどが漁獲される。漁期は4~12月までであるが、盛漁期は6~8月である。観光客に素手でとらせた魚類をてんぷらなどにして食べさせる観光簀立ても行われている。

[吉原喜好]

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世界大百科事典 第2版 「簀立て」の意味・わかりやすい解説

すだて【簀立て】

潮の干満を利用して,魚をとる定置漁具の一種。木,タケヨシなどで作った簀を岸に平行にやや沖に向かって突き出す形で設置する。満潮のときに浅所に来た魚類で,干潮の際に簀に阻まれて取り残されるものをとる。規模,形状はさまざまで,両端に魚を誘導して,囲いに落とし込む装置をもつものもある。強固な構造ではないので,波の穏やかな内湾などで行われる。波瀬,八重ひび,八重簀などと呼ばれるものも同じである。網を用いれば建干網である。

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世界大百科事典内の簀立ての言及

【川漁】より

…川猟とも書く。内水面漁業の一種。大規模に行うことが困難で,かえって古風な漁法を残している。現在,日本各地の河川の沿岸では専業者はほとんどなく,多くは兼業者か遊漁者であるが,近年までポン,オゲ,ミツクリなどと呼ぶ,川漁を行う漂泊生業者がいた。 川漁で用いられる漁法は多岐にわたっている。まず,摑捕(つかみどり)は石の下,岸の虚(うつろ),石垣・岩の穴などに潜む魚を手づかみしたり,水中の石やげんのうでたたいて捕らえたりするものである。…

※「簀立て」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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