米印原子力協力(読み)べいいんげんしりょくきょうりょく

知恵蔵 「米印原子力協力」の解説

米印原子力協力

2006年3月、インドを訪問した米国のブッシュ大統領とインドのマンモハン・シン首相との間で結ばれた合意事項。インドは軍事用と民生用の核施設を分離し、民生用に限って国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れる。その代わりに、米国はインドに原子力発電の技術や燃料を供給する。これによって米国はインドの核保有を事実上、認めた形になった。05年7月にシン首相が訪米した際、基本合意していた。経済発展めざましいインドは、今後増加するエネルギー需要に備える意味もある。しかし、インドは核兵器拡散を防ぐ核不拡散条約(NPT)には未加盟のままであり、米国による「インドの特別扱い」に批判も出ている。イラン北朝鮮の核保有への思惑を刺激する、との見方もある。米国は対印協力を進めるのに国内法改正の必要があり、議会論争が続いたが、06年6月に上下院の委員会で改正法案が可決した。米国は、NPT未加盟国への核技術輸出を禁じる国際組織「原子力供給国グループ(NSG)」にも理解を求めている。

(竹内幸史 朝日新聞記者 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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