粗玉(読み)アラタマ

デジタル大辞泉 「粗玉」の意味・読み・例文・類語

あら‐たま【粗玉/新玉/荒玉/×璞】

掘り出したままで、まだ磨いていない玉。
その真価や完成された姿をまだ発揮していないが、素質のある人。
「爺いさんの記憶にあるお玉の姿は、まだ―のままであった」〈鴎外
(新玉)《枕詞あらたまの」が「年」にかかるところから「新玉の年」の意に用いる》年の始め。新年正月 新年》「―の春のマスク楽屋入万太郎
[補説]書名別項。→あらたま

あらたま[書名]

斎藤茂吉の第2歌集。大正10年(1921)刊。大正2年(1913)から大正6年(1917)にかけての作品、746首を収める。

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精選版 日本国語大辞典 「粗玉」の意味・読み・例文・類語

あら‐たま【粗玉・荒玉・新玉・璞】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 掘り出したままでまだ磨きをかけていない玉。
    1. [初出の実例]「璞 野王案璞〈普角反 阿良太万〉玉未理也」(出典:十巻本和名抄(934頃)三)
  3. すぐれた素質を持ちながら、まだそれを十分に発揮していない人。まだ、一人前でない者。
    1. [初出の実例]「爺いさんの記憶にあるお玉の姿は、まだ璞(アラタマ)の儘であった」(出典:雁(1911‐13)〈森鴎外〉一一)
  4. ( 「年」の枕詞「あらたまの」が、よく「あらたまの年の初め」と続けられるところから ) 新年。年のはじめ。正月。《 季語・新年 》
    1. [初出の実例]「その年も過ぎ、あらたま二月(きさらぎ)もたち」(出典:御伽草子木幡狐(室町末))

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