(読み)ふん

精選版 日本国語大辞典 「糞」の意味・読み・例文・類語

ふん【糞】

〘名〙 くそ大便。〔日葡辞書(1603‐04)〕

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デジタル大辞泉 「糞」の意味・読み・例文・類語

くそ【×糞/×屎】

[名]
動物が、消化器で消化したあと、肛門から排出する食物のかす。大便。ふん
分泌物が乾いてたまったものや、物のかす。「目―」「鼻―」「金―」
(「…もくそもない」の形で)ああだこうだ言う必要はない、そんなことは問題にならない、などの意を表す。…もへったくれもない。「こうなったら仕事も―もない」
[感]人をののしったり、自分の気持ちを励まし奮い立たせたりするときに発する声。くそっ。「―、今に見てろよ」
[接頭]名詞および形容動詞語幹形容詞などに付く。
卑しめののしる意を表す。「―坊主
程度のはなはだしいことをののしる意を表す。「―いまいましい」「―まじめ」「―力」
[接尾]形容動詞の語幹に付いて、卑しめののしる意を表す。「へた―」「やけ―」
[類語]うんこうんち便大便ばばふん糞便人糞

ふん【糞】[漢字項目]

[音]フン(呉)(漢) [訓]くそ
〈フン〉
大便。くそ。「糞尿糞便牛糞鶏糞人糞脱糞馬糞
きたないもの。「糞土
〈くそ(ぐそ)〉「糞度胸鼻糞馬糞まぐそ胸糞むなくそ
難読猫糞ねこばば

ふん【×糞】

動物が肛門から排泄はいせつする食物のかす。大便。くそ。
[類語]うんこうんち便大便くそばば糞便人糞

ばば【×糞/×屎】

大便、また、汚いものをいう幼児語
[類語]うんこうんち便大便くそふん糞便人糞

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「糞」の意味・わかりやすい解説


ふん

動物の摂取した食物が消化管内で酵素によって分解、吸収されたのちの残滓(ざんし)や、消化管上皮の剥離(はくり)した細胞、腸内バクテリア、分泌された粘液や色素などの混合したものをいう。ヒトの場合は糞便または大便ともよぶ。腸管外に排出されたものだけでなく、腸内停留の消化残滓も糞という。糞の成分は摂取した食物の組成や動物の食性によって変動する。哺乳(ほにゅう)類の糞形成は次のように行われる。まず食物を口中でそしゃくし唾液(だえき)酵素と混ぜて胃に送り込み、塩酸と消化酵素を加えて十二指腸に送られ、そこで胆汁酸や黄色の胆汁色素(ビリルビン)が加わり、消化物は腸上皮から吸収されるが、残滓の一部は腸内バクテリアで分解されてインドール、スカトール、硫化水素などのガスが添加される。これは流動糞であるが、しだいに水分が吸収されて固形糞になる。糞中の胆汁色素の一部はバクテリアで還元されてウロビリノゲンになる。その後、糞は主として結腸下行部に集まって凝縮し、直腸、肛門(こうもん)の筋肉の収縮で排出される。排出された糞が黄色から急速に黒褐色になるのは、ウロビリノゲンが空気中で酸化されてウロビリンになるからである。鳥類の糞と尿は共通の総排出腔(こう)から排出されるため、糞に尿酸やリン酸塩が混入する。ミミズは多量の土壌を取り込んで土中の有機物を消化してから排出するので、糞は土壌と少量の粘液からなる多量の団塊状土粒となり、土壌の通気や水分の貯留に役だつ。また土壌菌を拡散させて微生物の働きを助ける効果もある。

[高杉 暹]

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百科事典マイペディア 「糞」の意味・わかりやすい解説

糞【ふん】

動物やヒトの消化管から体外へ排出(脱糞)される食物の不消化残滓(ざんし)をいい,ヒトの場合はふつう大便と呼ぶ。消化腺の分泌物(胆汁など),粘膜壁の剥離(はくり)片,腸内細菌やその生産物(インドールその他)を混じて,しばしば特有の色やにおいを帯びる。排出器官からの排出物(尿)とは生理学的意義を異にするが,昆虫や鳥では,総排出腔内で尿と混じて,のち排出される。ウサギ類は軟便として排出したものを再度摂取し,盲腸内寄生細菌の働きでセルロース消化を受けてのち固い糞を排出する。糞には栄養分が含まれているため,昆虫など,これを食用とする生物がいる。
→関連項目排出

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世界大百科事典 第2版 「糞」の意味・わかりやすい解説

ふん【糞 dung】

ヒトでは大便と呼ばれる。動物の消化管の末端から排出される不用物で,主として食物中の不消化部分からなるが,ほかに腸内細菌,消化管の粘膜や消化腺からの分泌物,例えば胆汁色素なども含まれる。消化管の末端が肛門として独立せず,尿管および生殖輸管と合流して体外に開口する総排出腔となっている動物では糞と尿の区別は明確でない。なおウサギ類には硬軟2種の糞があり,軟らかい糞は肛門から再度摂食されて,盲腸内で寄生細菌によってセルロース消化を受けてのち,固い糞として最終的に排出される。

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栄養・生化学辞典 「糞」の解説

 便,糞便,大便ともいう.食物の不消化物,腸内細菌,腸粘膜の剥離したものなど,種々の物質からなる.

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