精選版 日本国語大辞典 「紙幣」の意味・読み・例文・類語
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政府紙幣や銀行券などの紙製の貨幣。通常は、同じく紙幣(紙券貨幣(ペーパー・マネー))であっても、兌換(だかん)銀行券、商業手形、小切手などを信用貨幣として区別しているので政府紙幣をさして用いる。紙幣の歴史は古く、中国ではすでに漢の時代に存在していたといわれるが、各国政府によって本格的に発行されたのは18~19世紀である。史上代表的な紙幣としては、フランス革命時に革命政府が発行したアッシニャ紙幣assignat、アメリカ南北戦争時のいわゆるグリーンバック紙幣greenback、第一次世界大戦時にイギリス政府が発行したカレンシー・ノートcurrency noteなどがある。わが国では、江戸時代の藩札、明治政府の太政官(だじょうかん)札や新紙幣、第一次世界大戦時や、日中戦争から第二次世界大戦にかけての小額紙幣、日本軍占領地での軍票などがある。
各国の紙幣は、多少の差異はあっても一般的には次のような特質と機能を備えていた。
(1)紙幣には兌換紙幣と不換紙幣とがあるが、多くは結果的に後者であるか、発行当初から後者であった。
(2)それでも人々の間で授受される直接的根拠は、国家が強制通用力を付し、法貨としていることにある。
(3)補助貨幣の代用として発行される場合もあるが、多くは戦争などによる財政難を解決する一手段として発行された。この場合、発行額は流通の必要に応じて決まるのではなく、おもに財政困窮の度合いによって決まった。
(4)流通には購買手段として直接投下されるが、不換紙幣のため兌換による流通からの回収もなく、さらに租税の納入や国債応募によって発行者たる政府に還流しても、財政支出がよほど緊縮されない限り、還流額を超えてふたたび発行され、流通内に滞留することになった。
以上の結果、政府紙幣の大規模な発行は、しばしば紙幣価値の下落、インフレーションの原因となったが、前述のアッシニャ紙幣、グリーンバック紙幣はその例として有名である。
なお、今日の中央銀行券は不換銀行券であり、その過剰発行(流通)が兌換によって規制を受けていない点では政府紙幣と同じであり、つねにインフレーションを引き起こす可能性をもつ。しかし、他面でその発行・還収は兌換銀行券のそれとほぼ同様の形態によって行われることから、インフレーションもまたこの発行・還収のルートのなかで生ずることになる。中央銀行が政策上の錯誤をしないよう強く要請されるゆえんもここにある。
[齊藤 正]
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…このことは,後に述べるように,貨幣の制度が発展した現代の経済においてもまったく同様にあてはまることである。 貨幣経済の発達は,商品貨幣から,銀行券,政府紙幣のようなそれ自体の使用価値はほとんどまったく存在しない表券貨幣へという移行を伴っているが,この表券貨幣が貨幣として流通しうるのも,上に述べた信認が存在するからである。表券貨幣に対するこの信認を維持するためのくふうとしてとられたのが,表券貨幣の裏づけとして,商品貨幣を位置づけるという本位制度であった。…
…1867年パリ万国博で受賞,69年にはミラノのアカデミー会員となる。70年明治新政府がフランクフルトのドンドルフ社に紙幣製造を依頼し,彼がその原版彫刻に従事したのを契機に日本に招聘される。75年摺師とともに来日。…
…他のヨーロッパ諸国もおおむね同じ推移をたどった。このように銀行券は,個々の銀行から中央銀行へと発行主体が変化したが,その信用供与を見返りに発行される点では共通であり,おもに政府財政の赤字補塡(ほてん)のために発行された政府紙幣とは基本的に異なる。 金本位制のもとでは銀行券は金貨と兌換(だかん)されるので,この兌換銀行券は金貨と同価値物である。…
…江戸時代に諸藩が発行した紙幣。最初の藩札は1661年(寛文1)越前国福井藩で発行した銀札であった。…
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