紛い(読み)マガイ

デジタル大辞泉 「紛い」の意味・読み・例文・類語

まがい〔まがひ〕【紛い/擬い】

見分けのつかないほどよく似せてあること。また、そのもの。まがいもの。名詞の下に付いても用いられる。「―の真珠」「詐欺―の手口
多く「まがいもない」の形で)まちがいないこと。「―もなく彼の筆跡だ」
入り乱れること。
「あしひきの山下光るもみぢ葉の散りの―は今日にもあるかも」〈・三七〇〇〉
あやまち。過失
「手の―、足の―」〈祝詞大殿祭
[類語]似非えせ偽物にせもの贋物偽物ぎぶつまがい物もどきまやかし似る似寄る似つく似通う通う相通ずる類するまが類似する相似する近似する酷似する肖似しょうじするあやかる似寄り瓜二つ生き写し丸写しそっくり疑似空似紛らわしいカーボンコピー

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「紛い」の意味・読み・例文・類語

まがいまがひ【紛・擬】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「まがう(紛)」の連用形の名詞化 )
  2. 入り乱れること。まざって区別のつかないこと。
    1. [初出の実例]「あしひきの山下光るもみち葉の散りの麻河比(マガヒ)は今日にもあるかも」(出典:万葉集(8C後)一五・三七〇〇)
  3. あやまち。過失。まちがい。つまずき。
    1. [初出の実例]「襁(たすき)懸くる伴の緒を、手の躓・足の躓〈古語に麻我比といふ〉なさしめずして」(出典:延喜式(927)祝詞)
  4. 見違えるほどよく似せてあること。また、そのもの。贋物。まがいもの。
    1. [初出の実例]「柳にやさかでまがひの糸ざくら〈慶友〉」(出典:俳諧・犬子集(1633)二)
  5. 古相撲の手のうち、四十八手以外のもの。鴨入首(かものいれくび)・向附(むこうづき)・逆附(さかづき)・鴫羽返(しぎのはがえし)・衣被(きぬかずき)・悔(とうぼうがえし)水車(みずぐるま)大意(つみのおおごころ)・繋前後(かけのまえうしろ)・磯並枕(いそのなみまくら)たちがん・居眼(いがん)・猿一飛(さるのひととび)・夢枕(ゆめのまくら)の称。
    1. [初出の実例]「十二之紛(マガヒ)」(出典:古今相撲大全(1763)下末)

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