紛う(読み)マガウ

デジタル大辞泉 「紛う」の意味・読み・例文・類語

まが・う〔まがふ〕【紛う】

[動ワ五(ハ四)]
他のものとよく似ていてとりちがえる。現在では連体形のみが用いられ、一般には「まごう」と発音されることが多い。「海かと―・うばかりの大湖
入り乱れる。
「梅の花散り―・ひたる岡辺をかびにはうぐひす鳴くも春かたまけて」〈・八三八〉
[動ハ下二]まがえる」の文語形
[類語]紛れる紛らす似る似寄る似つく似通う通う相通ずる類する類似する相似する近似する酷似する肖似しょうじするあやかる似寄り瓜二つ生き写し丸写しそっくり疑似空似もどき紛い似非えせ紛らわしいカーボンコピー

まご・う〔まがふ〕【紛う】

[動ワ五(ハ四)]まがう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「紛う」の意味・読み・例文・類語

まが・うまがふ【紛・擬】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙
    1. 分けることができないほどに入りまじる。まじりあって区別がしにくい。
      1. [初出の実例]「妹が家(へ)に雪かも降ると見るまでにここだも麻我不(マガフ)梅の花かも」(出典万葉集(8C後)五・八四四)
    2. よく似ていてまちがう。見分けたり、聞き分けたりできないほどよく似ている。似通う。
      1. [初出の実例]「恋わびてなく音にまがふ浦浪はおもふかたより風やふくらん」(出典:源氏物語(1001‐14頃)須磨)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙まがえる(紛)

紛うの語誌

語源としては「ま(目)」+「かふ(交)」が妥当か。「目がちらちらするほどに入り乱れ、また散り乱れる」が原義と考えられる。上代では、「みだる」は女性の髪などがもつれる場合などに、「まがふ」は雪や花びらなどが入り乱れる場合に用いられることが多い。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例