素姓(読み)すじょう

精選版 日本国語大辞典 「素姓」の意味・読み・例文・類語

す‐じょう‥ジャウ【素姓・種姓・素性・素生】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 本来「種姓」の意 ) 人の生まれながらの血筋家柄出自。また、その生育した境遇。育ち。生まれ。しゅしょう。そせい。すぞう。
    1. [初出の実例]「氏(うぢ)種姓(スジャウ)気高い人を、聟にとらせて給はれと」(出典:雲形本狂言・夷毘沙門(室町末‐近世初))
    2. 「氏も素姓(スゼウ)もしらぬ身が、名家の妻となりあがり」(出典:読本・椿説弓張月(1807‐11)続)
  3. 由緒(ゆいしょ)伝来
  4. 本来の性質。生まれついての性質。そせい。
    1. [初出の実例]「女御は我子いやしき娘、もと藪に咲紫ぼたんの素性(スジャウ)顕れ、不義放埒の根生ゆへ」(出典:浄瑠璃・浦島年代記(1722)三)

素姓の語誌

( 1 )血統階級の意を表わす「種姓」に対し、「素性」は生まれつきの性質を意味し、本来は別語であった。「色葉字類抄」ではシの畳字門に「種姓」が見えるが、その意味は不明。「種」字が直音化してスジャウとなり、意味が近似していた「素性」との間に混同が生じたと思われる。
( 2 )節用集などにも見える「素袍(スハウ)」や「素紗(スジャ)」などの例から、「素」の字音がスに、「種」の字音がシュに定着したため、「素性」の表記が定着したものと考えられる。


す‐ぞう‥ザウ【素姓】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ぞう」は「じょう」の直音表記 ) =すじょう(素姓)
    1. [初出の実例]「仏をいと多く造りたてまつりし功徳によりて、ありしすざうまさりて、人と生まれたるなり」(出典:更級日記(1059頃))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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