精選版 日本国語大辞典 「素数」の意味・読み・例文・類語
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1と自分自身以外に約数をもたない自然数のうち1でないものを素数という。自然数aが自然数bを割り切ることをa|bという記号で表す。1でない自然数pが素数であることはまた、自然数a、bに対してp|abならば、p|aまたはp|bが成り立つ、ともいいかえられる。
ユークリッドの『ストイケイア』のなかに、素数は無数に存在することが証明されている。その証明を現代風に述べてみる。2、3、5、……、pがすべての素数であるとし、N=(2・3・5・……・p)+1という数を考える。Nは2、3、5、……、pのいずれによっても割り切れない。したがって1と自分自身以外に約数をもたないのでNは素数である。Nは2、3、5、……、pのどれにも一致しないから、それらがすべての素数であるという仮定に反する。したがって素数の数は有限ではない。
素数表をつくるには「エラトステネスのふるい」と称する方法を用いる。現代でも基本的にはこの方法を改良して素数表をつくる。最初に2から順に自然数を並べる。まず2を残し、2の倍数を消していく。次に残った数のなかで最小の数3を残し、3の倍数を消していく。次に残った数のなかで最小の数5を残し、5の倍数を消していく。以下同様に続けて素数表を得る。なおエラトステネスは紀元前3世紀ごろのギリシアの天文学者・地理学者である。
2以上の自然数は素数の積として表せる。またその表し方は順序を除けば一意的である。たとえば12は3×2×2と素因数分解される。それ以外にも2×2×3,2×3×2と素因数分解が考えられるが、これらはすべて因数の順序を入れ換えれば同一の分解となる。素因数分解とその一意性についてはユークリッドの『ストイケイア』に記述があるが、その重要性は、ガウスの『数論研究』Disquisitiones Arithmeticae(1801)に至るまで十分認識されなかった。その重要性は、複素数にまで整数の概念を拡張するとき、かならずしも素因数分解とその一意性が成り立たないことによって逆に認識される。
11と13、17と19のように差が2の素数の組を双子素数という。双子素数は無数に存在するという予想があるが、現在未解決の問題である。
[足立恒雄]
たとえば一位の数が1である素数としては11,31,41,61,71などがある。また一位の数が3である素数としては3,13,23,43,53,73,83などがある。はたしてこれらの素数はそれぞれ無数にあるだろうか。このような素数の無限性を精密にした疑問に答えるのが算術級数の定理であって、1837年ディリクレによって初めて正確に証明された。
いま、a、dを互いに素な自然数とする。等差数列a,a+d,a+2d,……,a+nd,……のなかには無数に素数が存在する。たとえばaを1、dを10とすれば、一位の数が1である素数が無数に存在することを意味する。証明は
という素数のすべてにわたる和の級数に関する性質を用いて行われる。とくにsが1に近づくときf(s)は発散する。このことから素数が無数にあることがわかる。なぜなら、有限個ならばf(s)はいつでも確定するはずだからである。
算術級数の定理は単なる興味を超えた、基本的定理である。同じことが一次以上の多項式についていえるかは、まったく未知の問題である。たとえば
n2+1 (nは自然数)
の形の素数が無数にあるかどうか、いまだにわかっていない。
[足立恒雄]
自然数xを超えない素数の個数をπ(x)で表す。たとえば
π(2)=1, π(10)=4,
π(100)=25,π(1000)=168
である。アダマールとド・ラ・バレ・プーサンは1896年独立に素数定理、すなわち
が成り立つことを証明した。したがって大きなxについてはπ(x)はほぼx/logxに等しい。たとえばx=107のとき
π(x)=664579,
x/logx=620417
である。
素数のように不規則に分布するものがx/logxという簡単な関数によって近似され、しかも、それが証明されるというのは驚くべきことであろう。初期の証明には関数論の深い結果が用いられたが、セルバーグによって関数論を用いない証明が得られている(1949)。
[足立恒雄]
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(桂利行 東京大学大学院教授 / 2008年)
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…r=0であるとき,aはbで整除される,または割り切れるといい,aはbの倍数,bはaの約数であるという。
[素数]
1以外の正の整数pで,1と自分自身以外に正の約数をもたないものを素数という。2以外の素数は奇数なので奇素数という。…
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