経済(読み)けいざい

精選版 日本国語大辞典 「経済」の意味・読み・例文・類語

けい‐ざい【経済】

〘名〙
① (━する) (「経国済民」または「経世済民」の略) 国を治め、民を救済すること。政治
四河入海(17C前)三「俗縁未尽して政にあづかりて、伊尹皐陶が如にして天下を経済するぞ」 〔文中子‐礼楽〕
人間の共同生活を維持、発展させるために必要な、物質的財貨生産、分配、消費などの活動。それらに関する施策。また、それらを通じて形成される社会関係をいう。
池田光政日記‐天和二年(1682)五月一日「経済は国家の本なり。古語に、『国に三年の貯(たくわえ)無きを国其国に非ず』」
※可験録(1834)一「金沢侯往昔よき御家老ありて、御用金にて一時に経済の法やぶれ、下々困窮することを憂ひ」
金銭のやりくりをすること。
※談義本・世間万病回春(1771)五「自家の経済(ケイサイ)に心を尽して老後用心に金をたくわえ」
④ (形動) 費用やてまのかからないこと。費用やてまをかけないこと。また、そのさまをいう。倹約節約
※花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉四四「而して子之を食(やしな)はざるは全く経済(ケイザイ)より出る所ならん」
田舎教師(1909)〈田山花袋〉二八「自炊生活は清三に取って、結局気楽でもあり経済でもあった」
※生活の探求(1937‐38)〈島木健作〉一「大学は経済か法科が期待され」
[補注]明治前期には、英語の economics の訳語としては「理財」を用いることが多く、「経済」に落ちつくのは後期になってからのことである。

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デジタル大辞泉 「経済」の意味・読み・例文・類語

けい‐ざい【経済】

[名](スル)

㋐人間の生活に必要な財貨・サービスを生産・分配・消費する活動。また、それらを通じて形成される社会関係。
㋑金銭のやりくり。「わが家の経済は火の車だ」
㋒費用や手間のかからないこと。倹約。「弁当を持っていくほうが経済だ」
《「経国済民」「経世済民」の略》国を治め民を救済すること。政治。
「事業を為して天下を―するは、豈に政府に立のみに止らんや」〈織田訳・花柳春話
[類語](1㋐)産業流通金融財政理財エコノミー/(1㋑)やりくり収支家計内証台所勝手向き手許てもと/(1㋒)節約倹約節倹節用セーブエコノミー切り詰める引き締めるつづめる始末節するけちるけちけちする出し惜しむ出し渋る爪に火を点す財布の紐を締める財布の紐が堅い

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普及版 字通 「経済」の読み・字形・画数・意味

【経済】けいざい

国を治め、世を済(すく)う。経国済民。〔晋書、殷浩伝〕之れに答へて曰く、~足下沈淹長、思綜(た)ちて之れをらかにせば、以て經濟するに足る。

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世界大百科事典 第2版 「経済」の意味・わかりやすい解説

けいざい【経済 economy】

〈経済〉とは,衣食住など物財の生産・流通・消費にかかわる人間関係の全体である。われわれ人間も他の動物同様,ものを食べなければ生きていけない。しかしわれわれがものを摂取する過程は,動物とは根本的に相違する。われわれは食物を料理したり容器に盛りつけるなど,さまざまな様式で形姿を整える。動物として生理的に胃の腑を満たすという点からすれば,過剰といえるような部分がまとわりついている。しかもこれら過剰な部分は効率的にものを摂取するため,あるいは節約するためということとは無関係で,むしろそれらのためにはマイナスでしかない。

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世界大百科事典内の経済の言及

【経済人類学】より

…経済人類学はその名が示すように,経済学と人類学の両方に深く関係している。ことに経済学との関係においては,それが深いというにとどまらず,経済学を肯定的に吸収するか否定的に批判するか,あるいは,どのような経済学(新古典派かマルクス派か)に依拠するかにしたがって,経済人類学の問題関心,対象,方法にかなりの違いが生ずる。…

※「経済」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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