化学辞典 第2版 「結合次数」の解説
結合次数
ケツゴウジスウ
bond order
共有結合の多重性を表す量.結合の強さは,結合している2原子間r-sの電子密度が大きいほど強い.この結合の強さを表す量として全結合次数を考える.このうち,σ結合の強さを表すときはσ結合次数,π結合についてはπ結合次数を用いる.π結合次数 prs はLCAO近似によれば,
で与えられる.ここで,υi はi番目の分子軌道にあるπ電子の数,cri と csi はi番目の分子軌道のr原子とs原子の係数である.全結合次数 Prs は
Prs = 1 + prs
で表される.ここで,1はσ結合次数である.r-s間の結合距離 Rrs は,結合次数とは逆の並行関係にあることが知られている.これに関しては,sp2混成軌道からなるエテン,ベンゼン,グラファイトのC-C結合の長さだけを用いて得られる次の関係式がよく用いられる.
Rrs(nm) = Rσ - aprs
ここで,Rσ は sp2 炭素間の一重結合の長さで0.150~0.152 nm,aは定数で0.15~0.19の間にある.この関係を用いれば,結合次数の値から結合の長さを知ることができる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報