絞り(読み)シボリ

デジタル大辞泉 「絞り」の意味・読み・例文・類語

しぼり【絞り/搾り】

しぼること。しぼりぐあい。「乳―」
(絞り)「絞り染め」の略。「―の浴衣
(絞り)花びらなどで、絞り染めのように色がまだらに入りまじっているもの。
(絞り)写真機などのレンズ光軸中心を置く円形の穴で、レンズから入る光線の量を調節する装置。「―を開放にする」
絞り

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精選版 日本国語大辞典 「絞り」の意味・読み・例文・類語

しぼり【絞・搾】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「しぼる(絞)」の連用形の名詞化 )
  2. 絞ること。
    1. [初出の実例]「油やの絞(シボ)りを働く男」(出典:浮世草子・諸道聴耳世間猿(1766)三)
  3. しぼりぞめ(絞染)」の略。
    1. [初出の実例]「纈は、日本に云ふしほりと云ふ染物の色ぞ」(出典:四河入海(17C前)三)
    2. 「名にしおふ絞(シボリ)の名物、いろいろの染地家ごとにつるし」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)四)
  4. しぼりがみ(絞紙)
    1. [初出の実例]「干(ひ)かたき袖をしぼりのたばこ入仕出し」(出典:浮世草子・男色大鑑(1687)六)
  5. 花弁などの紅白入りまじったもの。〔改正増補和英語林集成(1886)〕
  6. 光学器械で、レンズや鏡の前に置かれ、機械的に開口部面積を加減して入射光線の量を制限する装置。カメラでは小羽根を組み合わせて、穴の大きさを自由に変え、適当な露光量を得るほか焦点深度を変えて、鮮明な像を得る働きもする。
    1. [初出の実例]「或は暗箱のしぼりといふ機械を取付けたやうに」(出典:銀二郎の片腕(1917)〈里見弴〉)
  7. 囲碁の手筋の一つ。欠け目になる断点に捨て石を打って相手の石をダンゴにさせる手段。シメツケと関連することが多い。
  8. 顔や手をふくための、湯や水でしめして絞ったタオル手拭い。お絞り。

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百科事典マイペディア 「絞り」の意味・わかりやすい解説

絞り【しぼり】

カメラのレンズを通過する光の量を調節する装置。レンズの中心を囲んで複数の羽根を操作し,円形またはそれに近い多角形の光を通す穴を連続的に変化させる。シャッターとともに光量調節上重要。また絞るほど被写界深度が深くなる。絞りの度合を表すのにF数を使用する。これはレンズの焦点距離を絞り穴の直径で割った値で,シャッタースピードが一定なら像面の明るさはF数の2乗に反比例する。ふつうカメラには光量が順に半分になるF=1.4,2,2.8,4,5.6,8,11,16,22,32等の数値を目盛ってある。
→関連項目カメラ口径比

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「絞り」の解説

絞り

レンズに入ってくる光の量を調節する機構。絞りによって調節される値を「絞り値F値)」といい、絞り値が大きいほどレンズに入ってくる光の量が制限される。多くデジタルカメラには、CCDが光を感知して、シャッタースピードと絞りを自動的に調整するAE機能が搭載されている。また、デジタルカメラによっては、絞り値を手動で設定し、設定した絞り値に合ったシャッタースピードをデジタルカメラが自動的に設定する「絞り優先モード」を搭載したものもある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「絞り」の意味・わかりやすい解説

絞り
しぼり
stop; diaphragm; aperture

レンズなどの光学系で,明るさを調節したり,収差の影響を補正するために,光束を制限する開口をいう。特に設ける場合もあれば,レンズの枠が絞りになっていることもある。多くのレンズ枠がある場合には,物点からみて最小のものが有効絞りとなる。有効絞りを物空間側にある光学系で結像したものを入射瞳,絞りより後方にある光学系で像空間側に結像したものを射出瞳という。このような絞り (開口絞り) のほかに,視野を制限するための視野絞りもある。

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カメラマン写真用語辞典 「絞り」の解説

絞り

 撮影レンズのなかにあって、光量を加減する役目を持つ部分。多くの場合、何枚かの金属板を組み合わた「絞り羽根」を使うことで、光の通る開口部の面積を調節している。絞り値はこの穴の大きさを表す数値。数字が大きいほど開口面積は小さく、通過する光量は少なくなる。反対に、数字が小さいほど開口面積は大きく、通過する光量は大きくなる。

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世界大百科事典(旧版)内の絞りの言及

【カメラ】より


【カメラの歴史】
 すでに述べたようにカメラ・オブスキュラはかなり古くからあり,その原理についてもイブン・アルハイサム(アルハーゼン),R.ベーコンらは知っていたといわれ,レオナルド・ダ・ビンチもカメラ・オブスキュラの正確な記述を残している。イタリアのG.B.dellaポルタは,1589年の《自然魔術》という著書の中でカメラ・オブスキュラを一般に広く紹介したが,すでにこれより以前にG.カルダーノやバルバロDaniel Barbaro(1528‐70)が両凸レンズを用いて明るい映像を得る方法を述べており,またバルバロは68年の著書の中で鮮明な映像を得る方法として絞りの採用も提案している。当時,カメラ・オブスキュラはもっぱら絵をかくときのトレース用として利用され,その小型化も図られたが,実用的なポータブル化に成功したのはドイツの僧ツァーンJohann Zahn(1641‐1707)であり,1685年の彼の著書を見ると,彼のカメラ・オブスキュラには光路に斜めに反転可能な鏡があって,水平なピントグラス上に映像を結ぶ一眼レフ方式になっていることに驚かされる。…

【絞染】より

…江戸前期の絞染は三沢初子所用雪輪模様帯,桜雪笹模様匹田絞小袖,雪輪菊模様小袖など代表的な名品がある。江戸後期以後は友禅染や刺繡を併用するもの,匹田絞を地とし,模様の線を絞り残して模様を表出するものなど,意匠のくふうは見られるが技術的には変わらない。一方,江戸初期ころから地方において木綿絞の夜着,ゆかた,手ぬぐい,献上手綱などが生産された。…

※「絞り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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