世界大百科事典 第2版 「統治二論」の意味・わかりやすい解説
とうちにろん【統治二論 Two Treatises of Government】
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ジョン・ロックの主著。イギリス名誉革命直後の1690年刊行。フィルマーの絶対主義擁護論批判と市民政府論の2編で構成。後者においてロックは,革命権を肯定,契約による政府の樹立を説き,市民社会の構成原理を明らかにして,名誉革命を理論的に正当化し,のちのフランス啓蒙思想やアメリカの独立に影響を与えた。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…イギリス人の権利は市民革命によって人間一般の権利にまでたかめられるが,それには,近世の合理的な自然法論の与えた影響が大きい。とくに近代立憲主義の思想を体系的に示したジョン・ロックの《統治二論》(1690)は重要である。彼によれば,人は自然状態のもとで人間としての生存に不可欠の自然権として固有の所有権propertyを有し,これには生命,自由,財産が含まれるのであるが,自然権をよりよく確保し,社会の安全を維持するために,他人との合意により政治社会すなわち政府を設立する。…
… なお,フランスだけでなく,より直接にはアメリカへの影響を含めて,イギリスの憲法的経験が普遍的な伝播(でんぱ)力をもつようになったことについては,J.ロックの思想の役割がとりわけ大きかった。その《統治二論》(1689)は,名誉革命の成果を維持し正当化することをみずから標榜して書かれたものであるが,古色蒼然とした中世的立憲主義を援用しながらいわば経験的に形成されていった近代憲法のあり方を,首尾一貫した論理的体系として再構成してみせた。身分的自由から出発するのでなく,人一般に固有な権利(自分自身にプロパーなもの,という意味で,生命,自由,所有を包括するものとしてのproperty)を出発点におき,それを保全する目的で諸個人によってとりむすばれた契約(〈社会契約説〉の項参照),というものを考えることによって政治社会=国家の存立を説明するこの思想は,〈個人〉こそが社会の成立ちの根拠であり目的だと考える近代立憲主義を,最もよく代表していた。…
…
[権力分立思想の系譜]
権力分立論には,古代ギリシアのヒッポダモスやアリストテレスの混合政体論にさかのぼる背景があるが,近代憲法の権力分立に大きな影響を及ぼしているのは,ロックとモンテスキューの思想である。ロックの《統治二論》(1689)は,生命・自由・所有物に対する固有の権利propertyを保全するために,各人が〈自然状態〉においてもっていた〈自然の権力〉を放棄して〈政治社会〉(〈市民社会〉)をつくりあげるのだという説明を前提とし,〈政治社会〉を形成した人民の意思による意識的な法制定作用として,〈立法〉というものを位置づける。ここでは,立法とは,propertyの保全という目的によって拘束された,しかし,人民の信託にもとづいて権限を与えられた人々の意識的な作用によって創造されるものとして考えられており,そのような立法の観念を中心として,〈政治社会〉の組織原理が想定される。…
…しかし,自然状態―社会契約―社会状態という図式を理論的に確立したのはホッブズであって,彼は自然状態を戦争状態と考え,その無秩序を克服するために絶対無制限の権力が必要であるとして,各人が特定の自然人または合議体を主権者として受けいれることを相互に契約するとき,その間に政治社会すなわち国家が生まれると説いた(《リバイアサン》1651)。これに対して,ロックはまず相互契約によって社会を構成した諸個人が,多数決によって選んだ立法機関に統治を委託すると説き,その目的を私有財産を含む個人の自由権の保障に求めることによって,権力に制限を加えた(《統治二論》1689)。 18世紀に入ると,社会生活の組織化が進み,また社会契約は歴史的事実でないという経験科学的批判が起こったが,その中でJ.J.ルソーはこの図式に新しい内容を与え,この理論の革命的意味を明らかにした。…
※「統治二論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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