絵草紙(読み)えぞうし

精選版 日本国語大辞典 「絵草紙」の意味・読み・例文・類語

え‐ぞうしヱザウシ【絵草紙・絵双紙】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 江戸時代、天災地変、敵討ち心中などの事件を絵入りの一、二枚の読み物にして、町中を触れ歩いて売ったもの。読み売り。触れ売り。瓦版。
    1. [初出の実例]「遊女のいきは論におよばず 絵草紙と成はつべきの心中に〈由平〉」(出典:俳諧・大坂独吟集(1675)下)
  3. 江戸時代、女性や子供のためにさし絵を多く入れた通俗的な読み物。とくに、赤本、黒本、青本、黄表紙、合巻などの草双紙の一般的な呼び名。
    1. [初出の実例]「はかなき絵草子を見ても、其撰者にかならず一返(いっぺん)の廻向あるべき物なり」(出典随筆戴恩記(1644頃)上)
  4. ( 「えぞうしばんづけ(絵草紙番付)」の略 ) =えほんばんづけ(絵本番付)
  5. 錦絵(にしきえ)をいう。
    1. [初出の実例]「俗称山本九左衛門 大伝馬町二丁目に住す。絵草紙問屋也」(出典:随筆・増補浮世絵類考(1844)富川房信)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「絵草紙」の意味・わかりやすい解説

絵草紙
えぞうし

草紙

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の絵草紙の言及

【瓦版】より

…多くの場合,絵画を中心として説明文を書き添えたもので,形態は大小さまざまな木版一枚刷りのものと,半紙二つ折りを数枚綴じたものとがある。事件発生の都度,街頭で読売りされたので〈読売り〉または〈辻売りの絵草紙〉などと呼ばれていた。瓦版という名称は幕末ころの文献に初めて見られ,いわゆる〈読売り〉の粗末なものに対する蔑称(べつしよう)として用いられていた。…

※「絵草紙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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