綱領(読み)こうりょう(英語表記)party platform

精選版 日本国語大辞典 「綱領」の意味・読み・例文・類語

こう‐りょう カウリャウ【綱領】

〘名〙
[一]
物事の主要なところ。要点眼目こうれい
※東寺百合文書‐ム・応安六年(1373)一二月学衆方評定引付「一 学衆器要評定追加法度事〈略〉如此事以綱領沙汰之条」
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉九「これ等の事を理する、独り綱領を綜(すぶ)るのみならず」 〔魏志‐陳矯伝〕
政党労働組合など、ある組織において団体活動のよりどころとなる基本方針。その主張、目的、政策、あるいは実践の規範などを示したもの。
泰西国法論(1868)〈津田真道訳〉四「根本律法は惟国制の大綱領を掲ぐる耳」
[二] 奈良・平安時代、貢物を京に運送する責任者。国司史生郡司あるいはその子弟、または有力者がこれにあたった。
三代格‐七・延暦一五年(796)六月八日「諸国綱領郡司等、任意相替正身不参」

こう‐れい カウ‥【綱領】

〘名〙 (「れい」は「領」の漢音) =こうりょう(綱領)(一)①
太平記(14C後)一五「其後法流彌(いよいよ)盛にして、一朝の綱領(カウレイ)四海倚頼たりしかば」
都鄙問答(1739)一「性を知るは学問の綱領(カウレイ)なり」

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デジタル大辞泉 「綱領」の意味・読み・例文・類語

こう‐りょう〔カウリヤウ〕【綱領】

物事の最も大切なところ。要点。眼目。
政党や労働組合などの団体の政策・方針などの基本を示したもの。

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普及版 字通 「綱領」の読み・字形・画数・意味

【綱領】こうりよう(かうりやう)

綱要。〔三国志、魏、陳矯伝〕子、(陳)本嗣(つ)ぐ。郡守九位す。在る綱領を操り、大體を擧げ、能く群下をして自ら盡さしむ。統の才り、小事を親(みづか)らせず。

字通「綱」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「綱領」の意味・わかりやすい解説

綱領
こうりょう
party platform

大衆団体や政治団体、とくに政党の基本的立場や目標、実現の方法、基本政策、当面の要求、組織などを定めた文書。綱領は一般に結社の最大公約数的一致点を示し、できるだけ多数の支持を獲得するため、具体的でないものが多い。また、結社の存在理由を明示し、一般大衆に印象づける必要性から、簡潔明瞭(めいりょう)なものが好まれる。とくに、保守党の綱領は抽象的な項目の列挙に終わる傾向が強い。これに比べて、革新政党の綱領は運動の戦略・戦術まで詳しく展開したものが多く、とりわけ共産主義政党は、終極目標を示す最大限綱領、その過程の段階的目標を示す最小限綱領、当面の要求を示す行動綱領を厳密に規定している。綱領は、一面では世論を反映するとともに、他面では積極的に世論を形成する要素ともなる。1875年ドイツ社会主義労働者党のゴータ綱領、1891年ドイツ社会民主党のエルフルト綱領、1959年のバート・ゴーデスベルク綱領などがよく知られている。

[五十嵐仁]

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世界大百科事典 第2版 「綱領」の意味・わかりやすい解説

こうりょう【綱領 program】

一般に政治組織・党派の目的とそれに至る筋道を定めた文書をいう。政治組織はみずからの存在理由と趣旨とを簡潔に表現した文章をもつことが多い。歴史的には体制変革をめざす政党,とりわけ科学的社会主義をかかげる政党が緻密な党綱領を作成し,これによって党建設を行ってきた。これに対し保守主義政党や非宗教的中間政党のように特定の世界観を基礎としていない場合には,一般的かつ抽象的な綱領をもつにとどまることが多い。国際的には,マルクスの《共産党宣言》(1848)が共産主義者同盟の綱領草案として有名であるが,ドイツ労働運動ではゴータ綱領(1875)やエルフルト綱領(1891)といった文書が採択された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「綱領」の意味・わかりやすい解説

綱領
こうりょう
program

政党や大衆団体などの基本目標,当面の要求,これらの実現の方法,組織などを規定した文書をいう。

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世界大百科事典内の綱領の言及

【プログラム】より

…音楽,演劇,映画用語。プログラムという言葉は,本来,演奏会で演奏される曲目構成やさまざまな舞台芸術の公演における上演演目,上演次第,あるいは映画館での番組などを指す言葉であるが,日本のこれらの分野で定着した〈プログラム〉という言葉は,それよりもむしろ,演奏曲目とその周辺情報,あるいは上演(上映)演目とその周辺情報などを載せた小印刷物(英語ではチラシ,ビラの形態のものも含み,この意味ではplaybillともよばれる)を指すことが多い。…

※「綱領」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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