綿織物(読み)めんおりもの

精選版 日本国語大辞典 「綿織物」の意味・読み・例文・類語

めん‐おりもの【綿織物】

〘名〙 木綿糸で織った織物。綿(めん)綿織木綿物綿製品
中外商業新報‐明治三八年(1905)三月二五日「綿織物は啻に国内需要を充たす而已ならず」

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デジタル大辞泉 「綿織物」の意味・読み・例文・類語

めん‐おりもの【綿織物】

綿糸で織った織物。

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百科事典マイペディア 「綿織物」の意味・わかりやすい解説

綿織物【めんおりもの】

綿糸を用いた織物。すでにインドでは古代から織られ,前500年ごろにはエジプトに伝えられたというが,西欧では長く毛と麻が織物の主流であり,綿織物が本格的になったのは18世紀の産業革命以後である。日本では古く木綿(ゆう)があったが,これは絹に対して麻やコウゾ,フジなどの植物繊維でつくる布のことであった。799年にワタがもたらされた記録があるがまもなく絶滅したらしく,ワタ栽培が始められたのは室町末期からとされる。江戸時代になって各地で綿織物が生産されるようになり,白木綿(もめん)では三河木綿河内木綿真岡(もおか)木綿などが知られ,綿絣(がすり)では久留米絣伊予絣,播州絣などが知られていた。綿織物は一般に保温力,耐久力があり,吸水性に富み熱にも強い。酸には幾分弱いがアルカリには強く,マーセリゼーションにより光沢を出し平滑にすることができる。また,染料の吸着度が高く,静電気が起きにくい。縮みやすく皺(しわ)になりやすいが,最近は防皺(ぼうしゅう)加工,防縮加工が行われている。安価なので実用的な衣料や室内装飾品,機械や器具の部品布などとして用途が広い。平織にはガーゼ,金巾(かなきん),天竺(てんじく)木綿,キャラコなど,綾織には雲斎織デニムなど,繻子(しゅす)織には綿サテンなど,添毛織にはタオルコール天などがある。→織物綿花
→関連項目織物工業綿業木綿

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「綿織物」の意味・わかりやすい解説

綿織物
めんおりもの

綿糸を原料とした織物の総称で、綿布ともいう。生地(きじ)綿織物は生地糸で織ったままのもので、精練、漂白などの処理を施してない綿布である。黄褐色を呈し、小さく砕かれた綿実の殻などが付着した粗布(そふ)、細布(さいふ)、天竺(てんじく)など。加工綿織物には晒(さらし)綿布と色綿布がある。漂白するにはさらし粉が多く使われ、綿花に含まれている天然色素を抜き去り純白にする。色綿布は先染(さきぞ)め、後(あと)染め、捺染(なっせん)に分かれる。先染織物は織る前に糸染めされたもので、経緯(たてよこ)糸の一部または全部を染色した綿糸で織ったものである。経縞(たてじま)・緯(よこ)縞織物はだいたいにおいて先染めであり、絣(かすり)織物も先染織物である。一方、後染織物とは布の状態で染浴に浸して一色に染めたものであるから、無地織物ともいう。最後の捺染織物は模様を染め付けたプリントもので、外着用にはもっともよく用いられる。

 また織物幅により小幅、広幅織物に分類される。わが国の和服用綿布は、一般に36センチメートル(鯨尺九寸五分)を標準として、着尺(きじゃく)物(小幅物)という。これに対して、シャツ地、洋服地などは、ヨーロッパ式の織物幅(広幅物)であり、通常、着尺の2~3倍(約76~114センチメートル)である。

[並木 覚]

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世界大百科事典 第2版 「綿織物」の意味・わかりやすい解説

めんおりもの【綿織物】

綿糸を経(たて)および緯(よこ)糸に使用した織物の総称。棉織物とも書く。木綿織物,綿布とも呼び,白生地のほか,先染(さきぞめ)の・格子・(かすり)・紋織物,後染(あとぞめ)の絞(しぼり)・型染・木綿友禅・更紗など各種の染織素材となる。
【綿糸と綿織物】
 綿糸は植物繊維の一つで,アオイ科の植物に属するゴシピウムGossypium綿属の種子を被包する白色繊維質の柔毛から得られる。植物の草皮や樹皮,葉皮から得られる繊維が比較的長繊維であるのに対し,綿は短繊維で,その紡績や製糸の方法は羊毛にきわめて類似する。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「綿織物」の意味・わかりやすい解説

綿織物
めんおりもの
cotton cloth

綿布,木綿 (もめん) ,コットンなどと呼ばれる。綿糸で織った織物の総称。実用性に富み,保温,吸湿,染色性にすぐれ,水,アルカリ,熱に強いなど多くの長所をそなえている。生地綿布と加工綿布に大別される。生地綿布は,精練,漂白,染色などを行う前の,織り上がったままのもので,粗布,天竺 (てんじく) ,細布,生金巾 (きかなきん) ,生地ポプリンなど,いずれもそのままで,または加工綿布の原料として用いられる。加工綿布は種類がきわめて多く,さらし綿布 (さらし木綿,さらし金巾,ブロード,ポプリンなど) ,先染綿布 (紺がすり,ふとん縞,ギンガムなど) ,後染綿布 (浸染で1色に染めた織物) ,捺染 (なっせん) 綿布などがある。用途も,その種類とともに,きわめて広範囲にわたっている。難点は皺になりやすく,縮みやすいこと,伸縮性がないことであるが,これを除くための,いろいろな特殊加工法も工夫され,全体として高級化されてきている。

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旺文社日本史事典 三訂版 「綿織物」の解説

綿織物
めんおりもの

綿糸を原料とする織物の総称
室町時代以後,朝鮮産の綿布を輸入,また15世紀末から中国系綿種の栽培で綿布製造が始まる。三河地方は特に有名。江戸時代,庶民衣料として重視され,摂津・和泉・河内,後期には尾張などの諸国で生産された。開国後,安価な工場製の輸入品に押されたが,明治維新後,安価な外国綿花を輸入し綿紡・綿織が発展。明治20年代の産業革命で大陸に進出し,大正期には世界市場に進出した。

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世界大百科事典内の綿織物の言及

【イギリス】より

…紅茶がイギリス人の国民的飲料になったといいながら,茶も砂糖もイギリス本国には産しない。同じことは,綿織物についてもいえる。イギリスを世界一の強国に押し上げたのは産業革命であったが,その産業革命をリードした綿工業は,17世紀後半以来,東インド会社の最大の輸入品であったインド産綿布の国産化を狙った産業だったのである。…

【織物】より

…別糸で輪奈(わな)を作ったり,製織後その別糸の表面にナイフを入れてけばだたせたタオルやべっちん,ビロードなどがこれである。 織物は以上のように,基本的には組織の変化によって分類されるが,使用される糸の種類によって絹織物,綿織物,麻織物,毛織物,化合繊維織物などという。また製法,加工などによって生(き)織物,練(ねり)織物,縞織物,絣織物,あるいは紋織物などとすることもできる。…

※「綿織物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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