デジタル大辞泉 「緑」の意味・読み・例文・類語
みどり【緑/×翠】
1 色の名。青と黄色の中間色。
㋐草木の葉の色。また、草木。特に新緑のころのものをいう。「一面の―」《季 夏》「満目の―に坐る主かな/虚子」
㋑海水のような深い藍色。
㋒黒くつややかな色。多く毛髪にいう。→緑の黒髪
2 新芽。特に、松の新芽。若緑。松の芯。
3 緑色の草木、植物。転じて、自然。「―豊かな土地」「―を守れ」
[類語](1)
色名の一つ。日本工業規格(JIS)では10種の有彩色,5種の無彩色,計15色名を基本色名に定めているが,緑は有彩色の基本色名の一つである。スペクトル色(可視光線の単色光の示す色刺激)は,人によって色感覚も異なり,その波長も一定でないが,緑は波長ほぼ480~510nmの範囲にある。
緑は青と黄とを重ねた色であるが,その概念は古今東西はなはだあいまいで,青から黄にいたるさまざまの色を含み,しばしば青および黄とも混同される。それは,自然界において緑色を呈するものが主として草木の葉であり,それが青から黄にいたるさまざまの色を示すからであろう。そもそも青(青の正字)という漢字は生と丹の2字を組み合わせたもので,生え伸びる草木の色であることを示しており,本来はむしろ緑の意であろう。青草,青葉,青物などの語,さらに青信号などの青も実は緑である。緑を意味する北欧系の語green(英語),grün(ドイツ語)などはもともと〈育つ〉を意味する語(growなど)と語源を共にし,これもまた伸び育つ草の色である。サンスクリットのharitaは緑とともに黄をも意味するが,インド・ヨーロッパ語族では緑と黄とが語源を共通にする例も多い。これは若緑が黄に近いからであろう。要するに,青から黄へと広い範囲に及ぶ緑色は,人間にはまず草木の色として意識されてきたわけで,緑の象徴的意味も,ほとんどつねに植物と関係しているのである。
緑の意味に人間がとくに敏感である場合として,次の二つが考えられる。第1は緑樹に乏しい砂漠や荒地においてである。このような土地では,緑樹は生物に陰を与え糧を与え,生命そのものを支える。緑は生命の色であり楽園の色である。たとえば,古代エジプトのオシリス神が緑の身色をもつ場合,それは豊饒神としての意味を示すものである。砂漠地帯に多いイスラムのモスクに緑色タイルの使用が目だつのは,荒地の住民の心理として当然であろう。次に,植物にある程度恵まれながらも厳しい冬を過ごさねばならぬ地域では,草木が芽をふく春の到来を人々は待ちわびる。緑は生命の復活を示す色であり,成長と繁栄の色である。西洋中世の色彩芸術で,十字架につけられたキリストのその十字架がしばしば緑色であるのは,キリストの復活を象徴するものにほかならない。他方悪魔の体や眼を緑彩色することもまれにあり,これは悪魔の象徴とされる蛇が緑色だからだと説明される。しかし,緑は生気を失った肌の色である蒼白色(ラテン語のpallidus,pallens)と同一視されたからかもしれない。
執筆者:柳 宗玄
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色名。498~530ナノメートルの波長にほぼ対応する。緑はあまり強い印象を人々に与えない。たとえば、色には暖かい、冷たいといった印象があるが、緑の場合には、どちらでもなく中性的である。これは、緑が自然のなかに多くあることと関連しているものと思われる。したがって緑から連想されるものも、松の葉、芝生、草、茂った木などといったものが多い。
緑の象徴するものとしては、さわやか、若さ、平和、新鮮さ、安息、安全、平静、郷愁、未熟などがあげられる。このように、緑はとくに強い印象を与えないこと、自然の色と結び付いていることから、見た人に平穏な感じを与えるといえよう。しかしその印象は、枯れたということではなく、新鮮さを伴ったものである。緑は、しばしば青とあまり区別されずに使われることが多い。たとえば、交通信号の色をいうときでも、赤・青・黄といったり、赤・緑・黄といったりする。実際の色が緑っぽくても、青信号といって、あまり気にしない。また、「みどり」児(ご)とか、「みどり」の黒髪といった使い方もされる。前者は、まだ未熟な、これからどんどん育っていくということを示すために、後者は、つやがあるということを形容するために用いられているようである。しかし、未熟なということには青が使われることもある。「青二才」というのはそうであろう。このように、緑と青とはかならずしもはっきり分けて使っているとはいいがたい例がいくつもある。
[相馬一郎]
兵庫県淡路(あわじ)島中央部、三原郡(みはらぐん)にあった旧町名(緑町(ちょう))。現在は南あわじ市の北東部を占める一地区。1957年(昭和32)広田、倭文(しとおり)の2村が合併して緑村となり、1960年町制施行。2005年(平成17)西淡(せいだん)町、三原町、南淡(なんだん)町と合併、市制施行して南あわじ市となる。淡路島中央部に位置し、国道28号が通じる。神戸淡路鳴門(なると)自動車道は通過するが、洲本(すもと)インターチェンジが近くにある。『和名抄(わみょうしょう)』の広田郷、倭文郷の地。淡路島では珍しい内陸の町で、地域の大部分は山地、丘陵地である。ブタの飼育は県下有数であり、温州(うんしゅう)ミカンやタマネギ、レタスの生産が多い。1901年(明治34)に始まる酪農業の一中心地で、四国化工機の淡路食品工場がある。
[吉田茂樹]
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…第1次世界大戦後の有力な詩人グループ〈スカマンデルSkamander〉に属し,初期には日常語を駆使して都市の風俗を歌ったが,社会への幻滅をしだいに強め,風刺詩《歌劇場の舞踏会》(1936)などを発表。また言語探求の情熱は,異色作品《緑》(1936)などに結実した。フランス,アメリカへの亡命中の大作《ポーランドの花》(1949)もある。…
…さらに未熟の意味ともなり,青田,青梅,青侍などという表現が生まれる。これらの場合,青は緑と同一視されているが,それは両者の混用ではなく,青からしだいに黄色を帯びて緑に至るすべての色を一括して青と呼んでいるのであって,この用法は今日の青信号という語などにも残っている。青はまた空の色である。…
…647年(大化3)には7色13階に,649年には19階に改められたが,平常は黒い絹でつくった鐙冠(つぼこうぶり)を用いるようになったので,冠の色と服の色との分離が起きた。服色は深紫(こきむらさき)を最高とし,淡紫,真緋(あけ),縹(はなだ),緑の順で,黒が最下位におかれていた。この色の順位は隋・唐の制を模したものであるが,664年(天智3)には26階に改められ,686年(天武14)には諸王以下12階,諸臣48階と定められた。…
※「緑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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