(読み)ミドリ

デジタル大辞泉 「緑」の意味・読み・例文・類語

みどり【緑/×翠】

《元来、新芽の意で、そこから色名に転じたといわれる》
色の名。青と黄色の中間色。
㋐草木の葉の色。また、草木。特に新緑のころのものをいう。「一面の―」 夏》「満目の―に坐る主かな/虚子
㋑海水のような深い藍色。へき。「―の大海原おおうなばら
㋒黒くつややかな色。多く毛髪にいう。→緑の黒髪
新芽。特に、松の新芽。若緑。松の芯。
緑色の草木、植物。転じて、自然。「―豊かな土地」「―を守れ」
[類語](1緑色りょくしょく翠緑すいりょく深緑しんりょく草色くさいろ萌葱もえぎ柳色松葉色利休色オリーブ色グリーンエメラルドエメラルドグリーン黄緑深緑浅緑/(3翠色すいしょく青翠せいすい万緑ばんりょく新緑青葉若葉植物草木そうもく草木くさき本草ほんぞう樹木じゅもくプラント一木一草食虫植物観葉植物薬用植物高山植物帰化植物

りょく【緑】[漢字項目]

[音]リョク(漢) ロク(呉) [訓]みどり
学習漢字]3年
〈リョク〉みどり色。「緑陰緑草緑地緑茶新緑翠緑すいりょく万緑葉緑素
〈ロク〉みどり色。「緑青ろくしょう
〈みどり〉「緑色青緑深緑
[名のり]つか・つな・のり

みどり【緑】[相模原市の区]

相模原市の区名。西部は丹沢山地、東部は橋本を中心に市街地が広がる。

みどり【緑】[横浜市の区]

横浜市北西部の区名。平成6年(1994)青葉区を分区、また、一部は港北区の一部と合わせ都築つづき区となる。

みどり【緑】[千葉市の区]

千葉市南部の区名。住宅地。土気とけ町は戦国時代、酒井氏の居城地。

みどり【緑】[名古屋市の区]

名古屋市南東部の区名。大高おおだか緑地公園がある。

みどり【緑】[さいたま市の区]

さいたま市南東部の区名。さいたまスタジアムがある。

ろく【緑】[漢字項目]

りょく

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精選版 日本国語大辞典 「緑」の意味・読み・例文・類語

みどり【緑・翠】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 草木の芽。新芽。
      1. [初出の実例]「わがせこが衣春雨ふるごとに野辺のみとりぞ色まさりける〈紀貫之〉」(出典:古今和歌集(905‐914)春上・二五)
    2. 色の名。青と黄との間色。七色の一つ。また、光の三原色の一つ。みどりいろ。
      1. (イ) 草木の葉のような色。特に、新緑の頃の葉のような色。《 季語・夏 》
        1. [初出の実例]「春は萌え夏は緑(みどり)に紅の綵色(まだら)に見ゆる秋の山かも」(出典:万葉集(8C後)一〇・二一七七)
      2. (ロ) 海や空などのような色。深い藍色。〔書陵部本名義抄(1081頃)〕
        1. [初出の実例]「ながめするみどりのそらもかき曇りつれづれまさる春雨ぞふる」(出典:長秋詠藻(1178)上)
      3. (ハ) 黒くつやのある色。多く毛髪にいう。→緑の髪
        1. [初出の実例]「緑を願ひし黒髪を」(出典:人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)初)
    3. ( 松の緑、すなわち松の太夫の芽生えの意から ) 江戸時代、遊里で禿(かぶろ)の称。
      1. [初出の実例]「いろのみどりを禿の名によべる子の日の松の太夫しょくとて」(出典:洒落本・孔雀そめき(1789‐1801)自叙)
    4. みとり(見取)
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] ( 緑 ) 名古屋市の行政区の一つ。昭和三八年(一九六三)成立。市南東部にあり、江戸時代は東海道の鳴海宿、問屋場として栄えた。有松絞りの産地。近年は住宅地として発展。
    2. [ 二 ] ( 緑 ) 横浜市の行政区の一つ。昭和四四年(一九六九)港北区から分離成立。市の北西部に位置し、住宅地として発展。平成六年(一九九四)青葉区および都筑区を分区。
    3. [ 三 ] ( 緑 ) 千葉市の行政区の一つ。平成四年(一九九二)成立。市南部、村田川東岸一帯を占める。旧水田地帯から住宅地として発展。
    4. [ 四 ] ( 緑 ) さいたま市の行政区の一つ。平成一五年(二〇〇三)成立。市域の南東部を占め、埼玉スタジアムがある。

み‐とり【見取・看取】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「みどり」とも )
  2. 見て知ること。
    1. [初出の実例]「退渓、致格補伝の章のことを論ずる中によき見とりあり」(出典:大学垂加先生講義(1679))
  3. 広く見わたして、多くの中から選び取ること。
    1. [初出の実例]「及第した人を洛中の公卿見(ミ)とりに婿にとるぞ」(出典:四河入海(17C前)二二)
  4. ( 「緑」とも ) 歌舞伎・人形浄瑠璃などで、通し狂言にせず、諸作品から見所のある一幕・一段ずつを選び集めて演ずること。見取浄瑠璃。
    1. [初出の実例]「足らずめへは見取(ミドリ)にするといふ物か、世話物でも跡へ付けるか」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)三)
  5. 見て写し取ること。
  6. ( 看取 ) 病人のそばにいて世話をすること。看病。
    1. [初出の実例]「看護(ミトリ)に暇なき夥多(あまた)の侍女等は」(出典:亜非利加内地三十五日間空中旅行(1883‐84)〈井上勤訳〉二)
  7. 江戸時代、収穫不同の土地には一定期間石高を付けないで、毎年、坪刈の検見をして、納米高を定めたこと。〔経済録(1729)〕
  8. みとりこさく(見取小作)」の略。
  9. みとりざん(見取算)」の略。

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改訂新版 世界大百科事典 「緑」の意味・わかりやすい解説

緑 (みどり)

色名の一つ。日本工業規格(JIS)では10種の有彩色,5種の無彩色,計15色名を基本色名に定めているが,緑は有彩色の基本色名の一つである。スペクトル色可視光線の単色光の示す色刺激)は,人によって色感覚も異なり,その波長も一定でないが,緑は波長ほぼ480~510nmの範囲にある。

緑はとを重ねた色であるが,その概念は古今東西はなはだあいまいで,青から黄にいたるさまざまの色を含み,しばしば青および黄とも混同される。それは,自然界において緑色を呈するものが主として草木の葉であり,それが青から黄にいたるさまざまの色を示すからであろう。そもそも青(青の正字)という漢字は生と丹の2字を組み合わせたもので,生え伸びる草木の色であることを示しており,本来はむしろ緑の意であろう。青草,青葉,青物などの語,さらに青信号などの青も実は緑である。緑を意味する北欧系の語green(英語),grün(ドイツ語)などはもともと〈育つ〉を意味する語(growなど)と語源を共にし,これもまた伸び育つ草の色である。サンスクリットharitaは緑とともに黄をも意味するが,インド・ヨーロッパ語族では緑と黄とが語源を共通にする例も多い。これは若緑が黄に近いからであろう。要するに,青から黄へと広い範囲に及ぶ緑色は,人間にはまず草木の色として意識されてきたわけで,緑の象徴的意味も,ほとんどつねに植物と関係しているのである。

 緑の意味に人間がとくに敏感である場合として,次の二つが考えられる。第1は緑樹に乏しい砂漠や荒地においてである。このような土地では,緑樹は生物に陰を与え糧を与え,生命そのものを支える。緑は生命の色であり楽園の色である。たとえば,古代エジプトのオシリス神が緑の身色をもつ場合,それは豊饒神としての意味を示すものである。砂漠地帯に多いイスラムのモスクに緑色タイルの使用が目だつのは,荒地の住民の心理として当然であろう。次に,植物にある程度恵まれながらも厳しい冬を過ごさねばならぬ地域では,草木が芽をふく春の到来を人々は待ちわびる。緑は生命の復活を示す色であり,成長と繁栄の色である。西洋中世の色彩芸術で,十字架につけられたキリストのその十字架がしばしば緑色であるのは,キリストの復活を象徴するものにほかならない。他方悪魔の体や眼を緑彩色することもまれにあり,これは悪魔の象徴とされる蛇が緑色だからだと説明される。しかし,緑は生気を失った肌の色である蒼白色(ラテン語のpallidus,pallens)と同一視されたからかもしれない。
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緑(旧町) (みどり)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「緑」の意味・わかりやすい解説

緑(色)
みどり

色名。498~530ナノメートルの波長にほぼ対応する。緑はあまり強い印象を人々に与えない。たとえば、色には暖かい、冷たいといった印象があるが、緑の場合には、どちらでもなく中性的である。これは、緑が自然のなかに多くあることと関連しているものと思われる。したがって緑から連想されるものも、松の葉、芝生、草、茂った木などといったものが多い。

 緑の象徴するものとしては、さわやか、若さ、平和、新鮮さ、安息、安全、平静、郷愁、未熟などがあげられる。このように、緑はとくに強い印象を与えないこと、自然の色と結び付いていることから、見た人に平穏な感じを与えるといえよう。しかしその印象は、枯れたということではなく、新鮮さを伴ったものである。緑は、しばしば青とあまり区別されずに使われることが多い。たとえば、交通信号の色をいうときでも、赤・青・黄といったり、赤・緑・黄といったりする。実際の色が緑っぽくても、青信号といって、あまり気にしない。また、「みどり」児(ご)とか、「みどり」の黒髪といった使い方もされる。前者は、まだ未熟な、これからどんどん育っていくということを示すために、後者は、つやがあるということを形容するために用いられているようである。しかし、未熟なということには青が使われることもある。「青二才」というのはそうであろう。このように、緑と青とはかならずしもはっきり分けて使っているとはいいがたい例がいくつもある。

相馬一郎


緑(旧町名)
みどり

兵庫県淡路(あわじ)島中央部、三原郡(みはらぐん)にあった旧町名(緑町(ちょう))。現在は南あわじ市の北東部を占める一地区。1957年(昭和32)広田、倭文(しとおり)の2村が合併して緑村となり、1960年町制施行。2005年(平成17)西淡(せいだん)町、三原町、南淡(なんだん)町と合併、市制施行して南あわじ市となる。淡路島中央部に位置し、国道28号が通じる。神戸淡路鳴門(なると)自動車道は通過するが、洲本(すもと)インターチェンジが近くにある。『和名抄(わみょうしょう)』の広田郷、倭文郷の地。淡路島では珍しい内陸の町で、地域の大部分は山地、丘陵地である。ブタの飼育は県下有数であり、温州(うんしゅう)ミカンやタマネギ、レタスの生産が多い。1901年(明治34)に始まる酪農業の一中心地で、四国化工機の淡路食品工場がある。

[吉田茂樹]

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百科事典マイペディア 「緑」の意味・わかりやすい解説

緑[区]【みどり】

相模原市西部を占める区。2010年4月,相模原市が政令指定都市となり,中央区,区とともに区設置。相模原市の面積の7割以上を占める広大な区域を有し,合併前の津久井郡相模湖町,津久井町,城山町,藤野町の範囲を含む。西部は豊かな自然に恵まれ,点在するダム湖を核とした観光地がある。東部は横浜線から相模線,京王相模原線が分岐し国道16号線,129号線,413号線の結節点で区役所のある橋本を中心に,住宅地や工業地が広がる。253.68km2。17万6192人(2010)。

緑[町]【みどり】

兵庫県淡路島中南部,三原郡の旧町。大正初期に乳牛を導入して以来,島内酪農の中心となり,中心の広田に練乳工場がある。ブドウ,モモ,ミカンなどの果樹栽培も盛ん。タマネギ,ハクサイも産する。西部の倭文(しとおり)は古代の倭文織(しずおり)の産地。2005年1月三原郡西淡町,三原町,南淡町と合併し市制,南あわじ市となる。27.89km2。6353人(2003)。

緑[区]【みどり】

神奈川県横浜市北西部の区。多摩丘陵東部の台地を占め,農村地帯であったが,1955年ごろから宅地化が進み,1969年港北区から分区して成立,さらに1994年港北区の一部と合わせて,青葉区,都筑(つづき)区が新設された。横浜線,東急田園都市線,市営地下鉄,東名高速道路などが通じる。25.51km2。17万7631人(2010)。

緑[区]【みどり】

愛知県名古屋市南東端の区。伊勢湾に注ぐ天白川左岸の丘陵地を占め,有松絞で有名な鳴海,有松地区を含む。集約的な近郊農業地域であったが,名鉄名古屋本線,東海道本線,市営地下鉄桜通線,西南部に伊勢湾岸自動車道,名古屋第二環状自動車道,名古屋都市高速,知多半島道路が通じ,一般機器,金属,輸送用機器などの工業が行われ,住宅地化が著しい。37.91km2。22万9592人(2010)。

緑[区]【みどり】

千葉県千葉市南東部の区。1992年区制。区域の中央をJR外房線が東西に走り,鎌取,誉田(ほんだ),土気(とけ)の各駅沿いに町並が広がる。同線北側は古くからの農業地域,南側は南東部・土気南地区に大規模な宅地造成が進む。1995年千葉急行電鉄(現京成千原線)が延長され,区内に2駅が新設された。標高約100mの土気台地の先端にユースホステルやキャンプ場などのある総合公園・昭和の森(面積約101ha),あすみが丘ニュータウンがある。人口は1990年から急増した。66.25km2。12万1921人(2010)。

緑[区]【みどり】

埼玉県さいたま市の南東部を占める区。2003年区制。旧浦和市の東部に位置し,武蔵野線,埼玉高速鉄道,東北自動車道が通じる。見沼通船堀,埼玉スタジアムがある。26.44km2。11万118人(2010)。

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色名がわかる辞典 「緑」の解説

みどり【緑】

色名の一つ。JISの色彩規格では「明るい緑」としている。一般に、黄色の中間の色のこと。草木の葉の色をさす。古代から使われていた色名だが、古代の緑は現代よりも濃い色をさしたとされる。青、とともに光の三原色の一つ。国が表彰する緑綬褒章りょくじゅほうしょうの綬(リボン)は緑色。「翠」と表記することもあるが、こちらは萌黄もえぎに近いイメージ。「碧」と表記した場合は濃い青緑になる。一方、日本では古くから青の概念のなかに緑を含んでおり、青葉とは緑色の葉のこと。平安時代から現代まで、青と表記して緑色をさしているケースは多い。また、具体的な色ではなく瑞々しさを表すこともあり、「緑の黒髪」といったときは、しっとりとした印象を表現している。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「緑」の意味・わかりやすい解説


みどり

兵庫県南部,南あわじ市北東部の旧町域。淡路島中南部,淡路平野の中部を占める。 1957年広田村と倭文 (しとおり) 村が合体して緑村となり,1960年町制。 2005年西淡町,三原町,南淡町の3町と合体して南あわじ市となった。中心集落の広田は淡路酪農の中心地で乳製品工場がある。倭文は倭文織の産地で知られたが,近年はミカン,レモンの産地。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【トゥビム】より

…第1次世界大戦後の有力な詩人グループ〈スカマンデルSkamander〉に属し,初期には日常語を駆使して都市の風俗を歌ったが,社会への幻滅をしだいに強め,風刺詩《歌劇場の舞踏会》(1936)などを発表。また言語探求の情熱は,異色作品《緑》(1936)などに結実した。フランス,アメリカへの亡命中の大作《ポーランドの花》(1949)もある。…

【青】より

…さらに未熟の意味ともなり,青田,青梅,青侍などという表現が生まれる。これらの場合,青は緑と同一視されているが,それは両者の混用ではなく,青からしだいに黄色を帯びて緑に至るすべての色を一括して青と呼んでいるのであって,この用法は今日の青信号という語などにも残っている。青はまた空の色である。…

【染色】より

…647年(大化3)には7色13階に,649年には19階に改められたが,平常は黒い絹でつくった鐙冠(つぼこうぶり)を用いるようになったので,冠の色と服の色との分離が起きた。服色は深紫(こきむらさき)を最高とし,淡紫,真緋(あけ),縹(はなだ),緑の順で,黒が最下位におかれていた。この色の順位は隋・唐の制を模したものであるが,664年(天智3)には26階に改められ,686年(天武14)には諸王以下12階,諸臣48階と定められた。…

※「緑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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