改訂新版 世界大百科事典 「縞状磁気異常」の意味・わかりやすい解説
縞状磁気異常 (しまじょうじきいじょう)
striped pattern of geomagnetic anomaly
海洋上で観測される磁気異常で,正の異常を黒く塗ると縞状になるので名づけられた。磁気異常は幅20~30km,長さ数百kmで海嶺の両側で対称な模様となる。海洋底が縞状に正負に磁化していることになり,1950年代の最大の謎であったが,63年にバインF.VineとマシューズD.Matthewsによる,海洋底拡大説と地磁気の反転を組み合わせたバイン=マシューズ仮説により解決された。海嶺で湧き出したマントル物質は海洋底となり,海嶺の両側へ拡大していくが,海洋底は海嶺で冷えて固まるときに,その時代の地磁気の方向に自然残留磁気を獲得する。過去に地磁気が繰り返し反転していれば,テープレコーダーの原理で海洋底の自然残留磁気は上向きと下向きの縞状になるのである。磁気異常の縞状の模様が,海嶺軸の両側で対称になることもよく説明できる。
執筆者:鯰愛 髭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報