デジタル大辞泉
「縞状鉄鉱層」の意味・読み・例文・類語
しまじょう‐てっこうそう〔しまジヤウテツクワウソウ〕【×縞状鉄鉱層】
酸化鉄とケイ酸塩鉱物が縞状に堆積した地層。先カンブリア時代の藍藻による光合成が始まり、それまで無酸素状態だった海水に酸素が溶け込み、大量の鉄イオンが酸化されて海底に沈殿したものと考えられている。また、原生代末期の7億年前にも大規模な縞状鉄鉱層が生成したことがわかっている。後者の原因は、地球表面全体が赤道付近にいたるまで氷床に覆われた時代があったというスノーボールアース仮説によると、海洋が凍結して海水が無酸素状態になり、その後、氷が消滅して再び大気中の酸素が海洋に溶け込んで酸化鉄が生成し、縞状に堆積したものであると説明される。縞状鉄鉱床。BIF(banded iron formation)。
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縞状鉄鉱層
しまじょうてっこうそう
banded iron formation; BIF
縞 (しま) 状構造の顕著な鉱石から成る層状鉄鉱層をいう。鉱石は鉄鉱物 (主に赤鉄鉱,ときに磁鉄鉱や褐鉄鉱) とジャスパー・石英などが細かな互層状に配列した低品位の縞状鉄ケイ岩から構成されている。この初生鉱石が地表水などの作用でケイ酸分が溶脱され,その空隙に鉄分が濃集して高品位鉱を形成しているのが普通である。鉄の世界的な大鉱層は,この溶脱による鉄の濃集する鉱層に属するものが多く,主として先カンブリア時代の変成岩層中に胚胎し,大陸内陸地域に分布する。
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しまじょうてっこうそう【縞状鉄鉱層 banded iron formation】
先カンブリア時代の楯状地に広く分布する鉄に富む海成堆積物。鉄鉱物とチャートが互層状の細い縞目をつくっているのでこの名がある。鉄の含有量はふつう20~40%。高品位のものは鉄鉱石として採掘され,世界の鉄の生産量の90%,埋蔵量の60%を占める。主要な鉱床は,ラブラドル(カナダ),スペリオル湖周辺(アメリカ),カラジャス山地(ブラジル),クリボイ・ログ(ウクライナ),鞍山(中国),ハマーズリー山地(オーストラリア)など。
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縞状鉄鉱層【しまじょうてっこうそう】
BIF(banded iron formationの略)ともいう。古くは縞状鉄鉱床と呼ばれた。チャート起源のケイ質物と含鉄鉱物(赤鉄鉱)が縞状に繰り返す堆積物。世界の鉄資源の90%以上を供給する。成因は必ずしも明確ではないが,特にスペリオル型といわれる25億〜18億年前に形成されたものは,鉄が酸化されて沈殿したものという説が有力で,地球惑星進化過程における酸素濃度の指標になるといわれ重要視されている。
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世界大百科事典内の縞状鉄鉱層の言及
【鉱床生成期】より
…時期,期間ともに鉱床のタイプによりさまざまであるが,先カンブリア時代から現在までの地質時代に世界各地でいろいろな鉱床生成期が知られている。例えば,全世界の大陸地域にみられる縞状鉄鉱層の大部分は約20億年前ころの2億~3億年間に生成したもので,この時期に海洋や大気の組成に大きな変化が生じたために莫大な量の鉄鉱が海水から沈殿したものと考えられている。日本の火成鉱床の大部分は二つの鉱床生成期,白亜紀(7000万~1億3000万年前)と新第三紀(1万~2500万年前)のいずれかに属しているが,これはこれらの時期に花コウ岩質マグマの活発な活動があり,多くの火成鉱床がその活動により生成されたためである。…
【地質時代】より
…この海中でラン藻が繁殖して光合成作用を行い,炭酸ガスから酸素を放出すると,酸素は鉄と化合して酸化鉄として海底に堆積した。これが縞状鉄鉱層であり,縞は,藻が繁殖する夏と休眠する冬の季節を示すと考えられている。縞状鉄鉱層の堆積は20億年前,突然終りを告げる。…
【鉄鉱物】より
…鉄を含む鉱物を総称していう。鉄鉱物は硫化鉱物,酸化鉱物,水酸化鉱物,ハロゲン化鉱物,炭酸塩鉱物,リン酸塩鉱物,ヒ酸塩鉱物,ケイ酸塩鉱物など多様な化学組成をもっている。これらの鉱物中で鉄はFe2+およびFe3+の酸化状態で存在する。火成岩や変成岩中では,2価の鉄はマグネシウムとともにカンラン石,輝石,角セン石,黒雲母などの有色ケイ酸塩鉱物中に存在し,3価の鉄はケイ酸塩鉱物中のアルミニウムの一部を置換している。…
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