「朱子」とも書く。綾(あや)織のように組織点が連続していることなく、組織点を一定の間隔に均等して配置した組織の織物。平織、綾織とともに、織物の三原組織として知られている。組織としては、一完全(織物組織を構成する一単位)において経(たて)糸はただ1回だけ緯(よこ)糸と交錯するだけであるから、平織または綾織に比べると、織物の表面が著しく滑らかで、光沢のあるのが特徴であるが、組織点が少ないため、織物の地質が弱いのが欠点である。そこで組織点を規則正しく均一に等距離に配置するため、飛数(とびすう)というものを用い、斜文が織面に現れないように考慮されている。したがって一完全が大きくなると浮き糸が長くなるため、一般には五枚繻子か七枚繻子が用いられる。
繻子織の種類には、経糸を多く浮かせた経繻子と、撚糸(ねんし)を多く浮かせた緯繻子とがある。普通には経繻子が多いが、起毛の関係で紡毛の織物は緯繻子とすることが多い。
繻子織は、浮き糸が多いために織物としての耐久力からいうと平織や綾織に及ばないが、浮き糸に絹、人絹、フィラメント糸など光沢の強い原糸を使うと、光沢に富んだ織物となる。これには本絹繻子、人絹繻子、絖(ぬめ)、タンタンピースなどがある。また経繻子と緯繻子では光線の反射ぐあいが異なるので、地を経繻子で織り紋を緯繻子で織って同じ無地で紋様を表すことができる。このような組織には紋繻子、紋繻子縮緬(ちりめん)、ダマスクなどがある。また緯繻子の場合では、緯糸で長い浮きができるため、これに多彩色の緯糸や、金銀糸を使って地の組織に織り込めば、錦(にしき)、ブロケードなどになる。そして緯糸の浮きが長いことは、起毛機にかけたとき毛羽立てやすいことから、綿ネル、紡毛織物のように起毛して仕上げる織物に使われ、チンチラ、ビーバー、ベロアなどがこれにあてられる。
このほか、組織点をいろいろ増やしていくと、重ね繻子、花崗(かこう)織、梨(なし)地などの誘導組織がつくられる。
[角山幸洋]
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…斜文組織はこのように組織点がとぶから,枚数が多くなればそれだけ織物としての堅牢さが失われることとなり,実用的には六枚綾ぐらいが限度である。しかし組織点が遠のくことは,それだけ布面が平滑になり,絹などはその艶が美しく布面に表れるから,経糸あるいは緯糸をとばしながら織物の堅牢度を保つよう,組織点を斜文組織とは違ってできるだけ広く一様に配列した組織を,繻子と呼んでいる。したがって,繻子組織の織物(繻子)では,経糸あるいは緯糸が密着し,組織点はまばらにとんで連続しないから,その表面は経糸または緯糸だけでできているように見え,布面は一層滑らかで,光沢が強く,柔軟さが増すのである。…
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