精選版 日本国語大辞典 「義務」の意味・読み・例文・類語
ぎ‐む【義務】
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規範により人の内心ないし行動に課せられる一定の拘束のこと。その根拠となる権威の性質と強制の態様とにより多くの種類に分かれる。
宗教的義務は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教などでは、唯一絶対の特定の神が信仰の証(あかし)として課するもので、強制は内心に厳しく加えられるが行動にも及ぶ。しかし仏教その他とくに日本の神道では、権威は多元的で、強制は不定な傾向にある。
道徳的、倫理的義務は、純粋な形ではもっぱら内心に課せられる当為の命令であり、権威は良心に由来し、強制は外面には加えられない。カントが、実践理性が定立した至上命令を当為として人が自ら実践すべきもの、と理論化したのがその典型である。しかし社会道徳となると、人の常識や世の慣例なども権威として働き、人の目や世間の評判さえも強制力を帯びるので、その意味の外面的強制はある。
社会的義務は、人が社会で占める地位に応じて役割を果たすべき社会的責任である。その権威は、身分的、地域的、職能的、自発的など多様な組織、集団、階層、階級などの継続的社会関係、あるいはさまざまの接触、交換、協同その他の非継続的な相互作用に淵源(えんげん)し、その履行は、前の場合は社会関係の代表者、あとの場合は義務に対応する資格をもつ特定の相手方を通して要求される。その強制は、外面の行動に向けられるが、規範が内面化しているのに応じて内心にも及ぶ。
法的義務は、近代国家において形式的には、政治的権威が組織的強制力をもって制定、承認するものであるが、実体的には、前述の社会的責任が義務、そして社会的資格が権利として特殊な相互的対応関係のなかで限定されたものである。その特色は、正統の権威に基づくこと、権力による強制的なサンクションで保障されていること、および人に不利を強制するものであるからその内容、条件が法体系のなかで厳密に規定されていることにある。
[千葉正士]
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…個々の人間は,とりわけ良心の責めという現象において,おのれ自身の行為や人格の善悪の区別を体験する。あらゆる諸民族の文化生活において,道徳的命法,行為規範,道徳的価値規準などが存在し,それらにしたがって,ある種の行為は称賛すべきものとして是認され,あるいは義務として命じられ,他の種の行為は非難すべきものとして否認され禁止される,ないしは,人間自身とその態度や言動が端的に善あるいは悪として評価される。その種の事柄について,それを単に事実として記述し分析する種々の社会科学(たとえば,文化史,文化人類学,社会学など)とか,その種の価値評価の成立を心理的に説明する道徳心理学とかとは異なり,倫理学としての道徳哲学は,道徳現象の究極的な根拠を問い,道徳の形而上学に到達しようとする。…
…倫理学は倫理に関する学である(〈倫理〉〈倫理学〉の語義については〈道徳〉の項を参照されたい)。それは古代ギリシア以来歴史の古い学であり,最初の倫理学書といえるアリストテレスの《ニコマコス倫理学》と,近代におけるカントの倫理学とによって,ある意味では倫理学の大筋は尽くされているといえなくもないし,また倫理学の長い歴史を踏まえて,その主題とされている事柄,たとえば善,義務,徳などについて,一般に認められている考え方を述べることは可能である。だが他面,倫理学についてその学としての可能性を否認する立場もありうるし,そうでなくても,それぞれの倫理学者の立場によって,その倫理学の概念が異なっているのは,ある程度まで必然的なことである。…
※「義務」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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