もの【者】
〘名〙 (「もの(物)」と同語源) 人。
古来、
単独で用いられることはごくまれで、多く他の
語句による
修飾を受けて、形式名詞ふうに用いられる。
卑下したり軽視したりするような場合に用いることが多く、また、現代では、「これに違反したものは」「右のもの」など、公式的な
文書で用いる。
※
平家(13C前)一「おごれる人も久しからず、只春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ」
[語誌](1)一般に「ひと」に比べて
立場や
地位の低い人をいうのに用いられるといわれ、
平安時代の
和文からはそのような傾向がうかがわれるが、厳密ではない。
(2)訓点資料では、「者」が人を意味する場合に「モノ」と訓読するようになるのは九世紀末からで、それ以前は必ず「
ヒト」と訓んだ。
しゃ【者】
※
評判記・美夜古物語(1656頃)「けふの
しゃこそあしかりつれ。もらへどくれず。
こころにもいらぬものと」
もん【者】
〘名〙 「もの(者)」の変化した語。近世後期頃からの
関東の
ことばによく見られる。
※
滑稽本・
浮世床(1813‐23)初「わっちは又、外の者
(モン)だとおもって大きにお慮外申しました」
もんの【者】
〘名〙 「もの(者)」の変化した語。
※
黄表紙・
大悲千祿本(1785)「しなびて落ちたはたれにやろ、かにやろ、いとしいもんのにやりまんしょ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「者」の意味・読み・例文・類語
しゃ【者】
その道に通じた人。其者。芸者。
「桔梗染めの腰がはり、縞繻の帯、―ぢゃわいの」〈浄・油地獄〉
もん【▽者】
「もの(者)」の音変化。近世後期頃から関東の言葉によく見られる。「若い者に任せる」
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