肖る(読み)アヤカル

デジタル大辞泉 「肖る」の意味・読み・例文・類語

あやか・る【肖る】

[動ラ五(四)]
影響を受けて同様の状態になる。感化されてそれと同じようになる。ふつう、よい状態になりたい意に用いられる。「彼の幸運に―・りたい」
影響を受けて変化する。動揺する。
「風速み峰のくず葉のともすれば―・りやすき人の心か」〈拾遺・雑恋〉
[可能]あやかれる
[類語](1似る似寄る似つく似通う通う相通ずる類するまが類似する相似する近似する酷似する肖似しょうじする似寄り瓜二つ生き写し丸写しそっくり疑似空似もどき紛い似非えせ紛らわしいカーボンコピー幸運

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精選版 日本国語大辞典 「肖る」の意味・読み・例文・類語

あやか・る【肖】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 揺れ動いて変化する。動揺する。変化する。
    1. [初出の実例]「風はやみ峰のくず葉のともすればあやかりやすき人の心か〈よみ人しらず〉」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)雑恋・一二五一)
    2. 「女御殿はとくまゐらせ給へとあれど、人々は『あやかりやすき御さまを、今少し見奉り給へ』と」(出典:海人刈藻物語(1271頃)二)
  3. 感化されて、同様な状態になる。似る。多くは、しあわせな人に似て、自分もしあわせになるなど良い状態についていう。
    1. [初出の実例]「御腕に鞆を書て御弓を引給しに肖(アヤカ)て、皇子の御腕に鞆の形あり」(出典八幡愚童訓(甲)(1308‐18頃)上)
    2. 「お年にも、御くゎほうにもあやかるやうに、三人の者共に、名を付て下されひ」(出典:虎明本狂言・財宝(室町末‐近世初))
    3. 「我がなした事でもないに、たたりを受る事などがある、夫は俗にあやかるといふ様な事で」(出典:文明開化(1873‐74)〈加藤祐一〉二)
  4. 疫病が)流行する。
    1. [初出の実例]「目赤はいかにもふさきて養生すへし。人にうつる物也。あやかるもの也」(出典:多聞院日記‐弘治二年(1556)正月一三日)

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