精選版 日本国語大辞典 「胃液」の意味・読み・例文・類語
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胃粘膜にある胃腺(いせん)からの分泌物をいう。胃腺の数は胃全体で約3500万といわれており、その分布する部位によって、胃底腺(いていせん)、幽門腺(ゆうもんせん)、噴門腺(ふんもんせん)とに分けられる。胃底腺は胃底と胃体部に分布し、胃の全面積の80%近い範囲に広がっていて、胃液というのは、一般にこの胃底腺からの分泌物をさしている。ここには、主細胞、旁(ぼう)細胞(壁細胞)、副細胞の3種の細胞があり、主細胞はペプシノゲンを分泌、旁細胞は塩酸を分泌、副細胞は粘液顆粒(かりゅう)を有する。すなわち胃底腺から分泌されるいわゆる胃液は、無色透明で粘り気のある強い酸性を呈するものである。幽門腺は胃前庭部(ぜんていぶ)、幽門部に分布し、アルカリ性の分泌液、粘液を分泌する。主細胞、副細胞に似た細胞はあるが旁細胞はない。噴門腺はおもに粘液を分泌する。胃液を採取するには、鼻腔(びくう)か口より細いゴム管(胃管)を食道を経て挿入し、胃より直接採取する。
[市河三太]
塩酸は主細胞に含まれるペプシノゲンを活性化させ、ペプシンとし、ペプシンは酸性反応下でタンパク質を加水分解し、水に可溶性のポリペプチドにする。粘液は、機械的、化学的な刺激から胃粘膜を守る役割を果たすほか、強力な酸中和能力をもっており、胃粘膜が消化されるのを防ぐといわれている。胃液にはこれらのほかに、幼児に多く含まれる凝乳酵素があり、水素イオン濃度(pH)4~5で乳汁を凝固させ、また胃脂肪酵素はpH4~5で脂肪を分解し、脂肪酸とグリセリンに変える働きをもつ。
[市河三太]
胃液分泌の経過は次の三つの時期に分類される。第1期は頭相とよばれ、食物のにおいをかいだり、あるいは食物のことを想像するだけで胃液が分泌される。この分泌は主として迷走神経の興奮によるもので、酸度が高く、ペプシノゲンが多い。第2期は胃相といわれ、食物が胃に入ると胃幽門部が伸展され、それが刺激となって、3時間ないし4時間続いて分泌がおこる。この分泌は迷走神経を介した反射によるほか、ホルモンによるものがある。このホルモンはガストリンといい、酸の分泌を増す。第3期は腸相といわれ、胃内容が十二指腸に入ると分泌がおこるが、胃液分泌の10%を占めるにすぎない。
[市河三太]
胃液分泌は神経性、体液性の二つによって調節されている。一般に迷走神経は分泌を促進し、交感神経は抑制に働くといわれる。しかし、精神的負担や心配、恐怖は胃液分泌を抑制するが、これらは迷走神経を介していること、また内臓神経(交感神経)刺激が胃液分泌を促進させることが知られているなど、一概に迷走神経は促進、交感神経は抑制とはいいがたい複雑な様相を呈している。一方、体液性では、胃粘膜で分泌されるガストリンが分泌促進、小腸粘膜より分泌されるセクレチンなどが分泌抑制するなど、いわゆる消化管ホルモンによって胃液分泌が調節されている。
[市河三太]
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