精選版 日本国語大辞典 「胎盤」の意味・読み・例文・類語
たい‐ばん【胎盤】
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胎生動物において胚(はい)および胎児由来の組織と母体子宮内膜由来の組織が緊密な接触を保って両者間に物質交換など生理的に重要な相互関係を生じている組織複合体を胎盤といい、血管に富んだ臓器である。
胎盤の形態は動物によって異なる。ヒトの胎盤はパンケーキ状で、語源的に平らなケーキの意味をもつplacentaにふさわしいが、ネコやイヌでは帯状、ヒツジやウシはロゼット状などいろいろな形態がみられる。
[新井正夫]
繁生絨毛(はんせいじゅうもう)膜と基底脱落膜からなる盤状胎盤で、妊娠4か月末に完成する。妊娠末期には円形または楕円(だえん)形で、扁平(へんぺい)な円盤状を呈し、直径15~20センチメートル、厚さは中央部で2~3センチメートル、重さは約500グラムで胎児体重の約6分の1に相当する。胎盤の子宮壁につく面を母体面といい、胎児に対する面を胎児面という。母体面は暗赤色で、大小不同の分葉に分割されて石垣状を呈する。胎児面は平滑で淡灰色を呈し、表面は羊膜で覆われている。新鮮な胎盤は灰白色の薄膜が各分葉の表面を覆い、分葉間の溝の中にも侵入し、やや厚い隔壁(胎盤中隔)を形成する。胎盤の微細構造は複雑である。絨毛組織は絨毛樹を形成し、その幹の部分は絨毛間腔(くう)の中央にあり、絨毛膜板と基底板との間を直角に連ねている。絨毛樹の中には胎児の血流が通っているが、一方、絨毛間腔内には母体血が充満している。この両者間でガス交換が行われるほか、各種の有機物や無機物質溶液、色素、免疫体などが通過し、胎盤は胎児にかわって消化器をはじめ、肺・腎(じん)・肝臓の作用をするわけである。また、胎盤ホルモン(おもに性腺(せいせん)刺激ホルモン)を分泌するが、これは妊娠の早期診断に応用される。
胎盤血行には、胎児血行と母体血行がある。胎児血行は臍(さい)動脈から絨毛内の毛細管網内に入り、絨毛間腔の母体血から酸素や栄養素をとって炭酸ガスなど不要物質を放出して動脈血となり、臍静脈に集まる。母体血行は、子宮胎盤動脈から動脈血を絨毛間腔へ送り、胎児の静脈血に酸素や栄養素を与え、炭酸ガスなど不要物質を受けて静脈血となり、胎盤の辺縁にある辺縁静脈洞内に流入して子宮胎盤静脈を経て母体の心臓に戻る。
完成した胎盤は、母体の脱落膜と受精卵からの絨毛膜・羊膜とからなる。胎盤が完成するまでは受精卵と子宮との結合は弱く、流産をおこしやすいが、完成すると結合が相当に強くなって流産の危険も少なくなる。また、胎盤にも寿命があり、妊娠があまり長く続くと機能を失って老化してくる。分娩(ぶんべん)前に老化がおこると、酸素の供給不足などで胎児が危険になる。したがって、分娩予定日より半月以上も出産が延びる遷延妊娠の場合には、胎盤の老化が進行しないうちに人工的に分娩をおこさせるようにする。
なお、胎児と胎盤は機能的には一つの単位としてみなければならず、胎児‐胎盤系とよばれている。また、尿中・血中絨毛性ゴナドトロピンの検査や羊水検査など、胎児の予後に関連する胎盤機能検査が行われる。
[新井正夫]
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出典 母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(母子愛育会総合母子保健センター所長)、子育て編:渡辺博(帝京大学医学部附属溝口病院小児科科長)妊娠・子育て用語辞典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…子房は1室~多室で,2室以上のものでは,隔壁septumで仕切られている。 胚珠のつくところを胎座placentaとよぶが,これは基本的に心皮の二つの縁辺である。ピーマンのように胎座が大きくなり,多数の胚珠をつけることがあり,スイカやナスでは子房室が胎座により満たされる。…
…哺乳類では,子宮の壁を形成している平滑筋の収縮により,胎児を包んでいる胎膜が破れ,胎児が腟を通り腟口から体外に押し出されることが多い。ついで胎盤が放出される。これを後産(あとざん)という。…
…胎盤は通常,子宮体部に付着するが,子宮の入口(内子宮口)にかかって付着している場合,これを前置胎盤という。妊娠末期から分娩に入るころ,子宮がたびたび収縮して卵膜が子宮からはがれるようになり,子宮口が開いてくると,この部分に付着していた胎盤がはがれて出血を起こす。…
…ヒトの場合は受精後8週までは,各胚葉からいろいろの器官の分化が終わるまでの期間なので,これまでを胎芽embryoといい,これ以後を胎児という。胎児は羊水中に浮いており,臍帯(さいたい)で胎盤とつながっている。胎盤は子宮壁につき,この中には胎児側から臍帯を通じて血管が入り込み,胎児はここでガス交換(呼吸)や物質交換を行って発育していく。…
…メクラウナギ類では存在しないといわれる。(11)胎盤 胎児性のシンシチウム栄養細胞は生殖腺刺激ホルモンを生産する。妊娠中のウマの血清中に存在する生殖腺刺激ホルモンは,母体の子宮組織から生ずる杯状構造から分泌される。…
…胚が母体と組織によって物理的な連絡をもち,さらにはそこを通じて物質交換を行い,胎発生を進行させるようになっている状態のことをいう。胎生の魚類などでも,胎盤あるいは類似の組織で胚が母体とつながっている場合には妊娠と呼ばれる。哺乳類では,妊娠は,受精卵が発生しはじめ,胚盤胞の状態で子宮壁に着床したときから始まり,出産のときに終わる。…
…排卵を抑制するので人工の強力な黄体ホルモンも多数合成されている。(12)胎盤のホルモン 胎盤からは種々のホルモンが分泌される。生殖腺刺激ホルモンも分泌されるが,下垂体のものと一次構造が類似し,二つのサブユニットからなる。…
※「胎盤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
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