体内の水分(体液)が不足した状態をいう。体液にはナトリウムイオンなどの電解質が含まれており、水欠乏と同時に電解質の不足も生ずる。脱水症は低張性、高張性、等張性の三つに分類される。体液が喪失するとき、水分よりも電解質のほうが多く失われると低張性(ナトリウム欠乏性)脱水症となる。逆に水分の喪失のほうが電解質よりも多ければ高張性(水欠乏性)脱水症、水分と電解質が同じ割合に失われると等張性(混合性)脱水症となる。生体はつねに不感蒸散によって水分が失われており、嘔吐(おうと)や下痢、意識障害などで水分の経口摂取が不十分な状態では高張性脱水症になりやすく、糖尿病や副腎(ふくじん)不全のように尿から慢性的に電解質が失われると低張性脱水症に陥りやすい。また、もっともしばしばみられるショック、外傷、熱傷などで体液が大量かつ急激に失われる状態では等張性脱水症となる。これらの鑑別診断は血漿(けっしょう)ナトリウム値や浸透圧の測定により行われる。測定値が高ければ高張性脱水症であり、低ければ低張性脱水症である。測定ができない場合は臨床症状などから推定する。高張性では口渇感や尿量減少などが著しく、低張性では血圧低下、頻脈、神経症状などが著しい。治療はいずれも、水分と電解質の不足量を輸液によって補給する。
なお、小児科ではとくに水分の欠乏のみでなく、電解質のバランス失調や酸塩基平衡の失調などの体液異常も、小児疾患の危険信号として重視されており、日常的に輸液が行われている。また、小児の水分欠乏量は体重から判定されている。短期間に健康時の体重の3%前後の減少があれば軽度、7%前後では中等度、10%前後では高度の脱水症とみられ、15%以上では死の近いことを意味する。
[山口規容子]
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