腰元(読み)コシモト

デジタル大辞泉 「腰元」の意味・読み・例文・類語

こし‐もと【腰元】

腰の辺り。腰つき。「腰元がふっくらする」
身分の高い人のそばに仕えて雑用をする侍女。こしもとおんな。
身の回り自分のかたわら。〈日葡

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精選版 日本国語大辞典 「腰元」の意味・読み・例文・類語

こし‐もと【腰元・腰本】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 腰のあたり。腰つき。〔運歩色葉(1548)〕
    1. [初出の実例]「足本・こしもと・身のまはりすっきり奇麗に」(出典:浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節(1707頃)中)
  3. 身のまわり。身辺
    1. [初出の実例]「唾(だ)壺はかすはきをはき入るつぼなり。こしもとにちゃうどをくぞ」(出典:玉塵抄(1563)一六)
  4. 貴人、大家の主人のそば近く仕えて身辺の雑用をする女。侍女。
    1. [初出の実例]「某はわかいくせして独寝がきらいじゃ。奥様申上てみめのよいお腰本かおはしたを馬になして某のいる側につないて」(出典:波形本狂言・人を馬(室町末‐近世初))
  5. 遊女屋で、主人の居間帳場で雑用に使われる女。遊女の罰として、これに従事させることがあった。
    1. [初出の実例]「あんまり引込と腰元(コシモト)にするとおっせへすから、けふもむりにみせへでへした」(出典:洒落本・通言総籬(1787)二)
  6. 刀の鞘(さや)の外側の鯉口に近い所にとりつけた半円状のもの。栗形。
  7. こしもとがね(腰元金)」の略。
    1. [初出の実例]「正月御服事〈略〉然御作りの様は御つかさや梨子地にこじりつか頭御腰本、何もしゃくどう」(出典:長祿二年以来申次記(1509))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「腰元」の意味・わかりやすい解説

腰元
こしもと

上流商家の人々の側に仕えて雑用をたす侍女(小間使(こまづかい))をさし、身の回りにおいて使うことから腰元使ともいう。また遊女屋の主人の居間や帳場で雑用に使われる女をもいった。一般には江戸時代に武家方奥向きに仕える女中と同義に解釈しているが、三田村鳶魚(えんぎょ)は、武家方の女奉公人のうちには腰元の称はなく、おそらくそれは京・大坂の上流の商家にあったと思われるものを、いつのまにか芝居のほうで武家方へ持ち込んだものではなかろうか、といっている。

[北原章男]

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