へそ【臍】
[1] 〘名〙
①
胎児のとき
臍帯が付着し、これを通じて
胎盤から胎児に血液、ガスや
栄養物が循環していたところの残遺。
腹部の前面
中央にある。
※小川本願経四分律平安初期点(810頃)「我が行く時には、我が斉(ヘソ)に触れき」
② 腹足類の旋回する殻の殻基の中央にある殻軸の内部に入りこんでいる場所。
③
種子が胎座につく点、あるいは種子が胎座から離れおちた痕。
※生物学語彙(1884)〈岩川友太郎〉「
Hilum 臍(種子ノ)」
⑤ 物の
表面の小さなでっぱり。
器物・道具類などの小突起。また、小さくくぼんだ部分。「
あんパンの
へそ」
※温故知新書(1484)「底 ヘソ 釜鍋」
⑥ 物の中央にあたる部分。また、物事の重要な部分。かんじんかなめ。「
日本列島のへそ」
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四「おめへの了簡は臍(ヘソ)だっ」
※雑俳・柳多留‐三四(1806)「すねをかぢるのみならず臍をほり」
⑧ (「じゃこう(
麝香)の臍」の形で) 麝香鹿
(じゃこうじか)の体内にある、麝香がとれる鶏卵大の腺をいう。また、麝香のこと。→
麝香の臍。
※とはずがたり(14C前)二「沈の舟に、麝香のへそ三にて船差作りて乗せてと」
[2] 〘接尾〙 (一)⑧を数えるのに用いる語。
※歌舞伎・千代始音頭瀬渡(1785)五立「麝香三へそ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「臍」の意味・読み・例文・類語
へそ【×臍】
1 腹の中心にある小さなくぼみ。へその緒のとれた跡で、胎児のときはこれを通じて栄養などが胎盤から循環していた。ほぞ。
2 ものの表面の中央部にある小さなくぼみやでっぱり。「あんパンの臍」
3 物の中央、中心。また、重要な部分。ポイント。「日本列島の臍にあたる部分」
[類語]臍
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へそ【臍 navel】
臍帯(さいたい)(俗にいう〈へその緒〉)が胎児に付着していた部分,すなわち臍輪の跡。臍帯は臍輪によって輪ゴムのようにとりまかれているが,生後日がたつにつれて,その締めつけが強くなり,臍帯の中を走る臍動静脈も閉塞し,結合組織化して,臍帯が脱落する。つまり,へその緒が落ちるのである。臍帯の脱落後,臍動静脈の断端部は周囲組織とともに縮小し瘢痕(はんこん)化し,いっそう狭まった臍輪の中に,こけしの首のようにはまりこみ,その上を皮膚がおおう。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
臍
腹壁の中心にあって,ここで臍帯が胎児とつながっていた.
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報