国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第3条第2項の規定に基づいて設置された、地方自治に関する事務等を担当する国の行政機関。長は、自治大臣。前身は旧内務省で、これが1947年(昭和22)に占領政策の一環として解体されたあと、49年総理府の外局として地方自治庁が設けられ、52年自治庁と改称し、60年7月国家消防本部の機能を吸収して消防庁を外局とする自治省が発足した。2001年(平成13)1月の中央省庁再編に伴い、総務庁、郵政省とともに再編統合され、総務省となった。
自治省の任務は、地方自治および公職選挙等に関する各種の制度の企画・立案、運営の指導、国と地方公共団体との連絡、地方公共団体相互間の連絡協調によって地方自治の本旨の実現と民主政治の確立に資すること、消防に関する事務を処理し水火災等による災害の防除に資することであった。
自治省の所掌事務としては、国と地方公共団体との一般的連絡に関すること、地方公共団体の求めに応じて当該地方公共団体の行政および財政に関する総合的な調査を行うこと、公有地の拡大の推進に関する法律(昭和47年法律第66号)に基づく土地開発公社および都市計画区域内の土地等の先買いに関する事務を行うこと、総合保養地域整備法(昭和62年法律第71号)の施行に関する事務を行うこと、多極分散型国土形成促進法(昭和63年法律第83号)の施行に関する事務を行うこと、大都市地域における宅地開発および鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法(平成1年法律第61号)の施行に関する事務を行うこと、産業廃棄物の処理にかかわる特定施設の整備の促進に関する法律(平成4年法律第62号)の施行に関する事務を行うこと、中心市街地における市街地の整備改善および商業等の活性化の一体的推進に関する法律(平成10年法律第92号)の施行に関する事務を行うこと、国家行政組織法第16条第1項および地方自治法(昭和22年法律第67号、第261条を除く)の規定に基づく内閣総理大臣の権限の行使に関する助言その他の援助に関すること、地方自治に影響を及ぼす国の施策の企画、立案および運営に関し、必要な意見を関係行政機関に申し出ること、地方公共団体の組織および運営に関する制度の企画および立案に関すること、地方自治に関する制度およびその運営に関する調査研究に関すること、合併市町村の建設に関する計画の指導その他市町村の育成および振興に関すること、特定商業集積の整備の促進に関する特別措置法(平成3年法律第82号)の施行に関する事務を行うこと、地方拠点都市地域の整備および産業業務施設の再配置の促進に関する法律(平成4年法律第76号)の施行に関する事務を行うこと、地方拠点都市地域の整備および産業業務施設の再配置の促進に関する法律(平成4年法律第76号)の施行に関する事務を行うこと、公職選挙法(昭和25年法律第100号)および同法の規定を準用する法律に基づく選挙に関する制度の企画および立案に関すること、地方公共団体の住民による各種の直接請求に基づく投票に関する制度の企画および立案に関すること、地方公共団体の財政に関する制度の企画および立案その他地方財政に関すること、地方交付税の総額の見積りに関すること、地方交付税の交付に関すること、地方交付税の減額または返還に関すること、地方特例交付金に関すること、地方債に関すること、地方公共団体の財政資金の調達に関して斡旋(あっせん)すること、地方税に関する制度の企画および立案その他地方税に関すること、等であった。なお、「地方分権」は、行政改革、規制緩和とならぶ時代のキーワードとなったが、「地方分権」推進への取組みは、近年の自治省の最大の課題でもあった。
中央省庁再編前の自治省の組織は次のようなものであった。内部部局として、大臣官房のほか、行政局、財務局、税務局があり、行政局に、公務員部および選挙部が置かれていた。審議会としては、地方財政審議会、地方公務員共済組合審議会、中央固定資産評価審議会が、特別の機関として、自治紛争調停委員、中央選挙管理会、施設等機関には、地方公務員の研修機関としての自治大学校があった。外局として、消防庁が置かれ、その下に、消防審議会、消防研究所、消防大学校が置かれていた。消防庁の組織、所掌事務および権限は、消防組織法による。これらの業務の多くは、新省庁の総務省自治行政局、自治財政局、自治税務局に引き継がれた。
[平田和一]
地方自治制度の企画,立案および運営の指導,国と地方公共団体との連絡協調をはじめ地方行財政の全般に責任をもつ中央行政機関であり,公職選挙制度,消防制度をも担当する。旧内務省の系譜に属する。内務省は,第2次大戦後,行政民主化を求める連合軍側の占領政策により解体され,その機能は,国家公安委員会(警察庁),建設省,総理府,地方財政委員会,全国選挙管理委員会等に分割された。その後1949年警察や建設関係を除き,地方自治制度の企画等を担当する地方自治庁が発足,52年自治庁に拡充改組,60年には国家消防本部の機能を吸収して自治省に昇格して(それまでは総理府の外局)今日に至っている。その内部組織は大臣官房,行政局,財政局,税務局からなっている。行政局は地方自治制度の企画等を実質的に担当するとともに,地方公務員制度(地方公共団体の人事委員会制度や地方公務員の公務災害補償,共済制度等を含む),公職選挙制度,政治資金規正制度などを所管する。財政局は地方交付税制度,地方債制度を含む地方財政制度全般について責任を負うとともに,地方公営企業制度を担当している。また,税務局は府県税,市町村税,固定資産税等地方税制度の企画,立案を担当する。外局として消防庁が置かれており,消防制度一般の企画,立案や各種の技術基準の設定,地方公共団体の指導等を行っている。付属機関としては,自治大学校,消防大学校,消防研究所等があり,審議会としては,地方財政審議会等4審議会が置かれている。なお,総理府に地方制度,選挙制度の重要事項を調査審議するための内閣総理大臣の諮問機関として地方制度調査会および選挙制度審議会があり,その事務は実質的に自治省が担当している。2001年の省庁再編により,郵政省,総務庁と統合されて総務省となった。
執筆者:八木 俊道
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国と地方公共団体の連絡調整および地方制度の企画・管理を行う中央官庁。1960年(昭和35)7月に自治庁と国家消防本部を統合して発足。内部部局に大臣官房と行政・財政・税務の3局,外局に消防庁がある。地方自治法・地方税法など地方行財政制度の企画・立案や地方交付税の算定,地方債の発行などを通じて地方行財政に対する影響力が大きい。2001年(平成13)1月,中央省庁再編により郵政省・総務庁と統合して総務省となる。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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