道路面を保護強化するために処理された路面構造物。路面は未処理のままでは水分を大量に吸収してぬかるみとなり、乾燥しすぎればほこりがたって交通上大きな障害になる。このため路面を強化し、平坦(へいたん)性を高めて防塵(ぼうじん)効果をあげ、交通の便を図ることは昔からの人々の願いであったといえる。
近代舗装は19世紀イギリスの生んだテルフォードT. TelfordとマカダムJ. L. McAdamとによってもたらされた。この2人は別個の形式の合理的な砕石道を考案した。また19世紀にはセメントが発明され、これを使ったコンクリート道路や、採掘したロックアスファルトを用いたアスファルト道路も考案されたが、これらの舗装が大きな発展をみたのは、20世紀になって自動車が実用化されてからである。
舗装は数層からなる層構造をもち、各層はそれぞれの役目を分担する。層構造は大別すると表層と路盤とになり、表層は荷重を受けて平滑な面を維持し、摩耗に耐えるものでなければならない。また滑りに対してかなり抵抗のできる摩擦をもち、かつ防水性で、凍結融解の破壊作用にも大きな抵抗のあることが必要である。路盤は、表層に作用する荷重を分散させて安全に路床に伝えるのがおもな役割である。
舗装は、その供用する交通の質と量に対応するよう種々の構造をもつ多種多様の形式のものが実用に供されているが、これを大別すると、セメントコンクリート舗装、アスファルト舗装、簡易舗装に分類することができる。
道路舗装の厚さは、アスファルトやコンクリートなどの表層部とその下の路盤の合計厚であるが、それはおもに交通量と路床の支持力とによって決定される。交通量が多く、路床支持力がとくに弱い場合には90センチメートル程度の厚さになる。東名高速道路では舗装厚は約50センチメートルのアスファルト舗装で、そのうちアスファルト表層・基層部の厚さはそれぞれ15センチメートル程度である。
日本の道路舗装率は、都道府県道以上の道路ではかなり高くなってきている。しかし、欧米に比べるとまだいくらかの隔たりがあり、とくに市町村道の舗装率が低い。また、高速道路や各地のバイパス道路や街路など新設される道路の舗装や既設の道路舗装の維持、修繕も、今後引き続いて実施されなければならない。
[吉川和広]
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…道は地方経済中心地への輸送を主とするものとなる。さらに車による道の破壊は,礫舗装を生む。それとともに従来徒渉場であった川にも橋梁が設けられ,馬車の通行に耐えるものへと変わっていく。…
※「舗装」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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