舞楽(読み)ぶがく

精選版 日本国語大辞典 「舞楽」の意味・読み・例文・類語

ぶ‐がく【舞楽】

〘名〙 舞を伴う雅楽唐楽(とうがく)伴奏で舞うのを左方の舞楽、高麗楽(こまがく)の伴奏で舞うのを右方の舞楽という。
新儀式(963頃)四「大唐高麗逓奏舞楽

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デジタル大辞泉 「舞楽」の意味・読み・例文・類語

ぶ‐がく【舞楽】

舞を伴う雅楽唐楽を伴奏とする左舞さまいと、高麗楽こまがくを伴奏とする右舞うまいとに分かれる。広義には、倭舞やまとまい東遊あずまあそ久米舞くめまいなど、日本古楽形式によるものも含む。

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百科事典マイペディア 「舞楽」の意味・わかりやすい解説

舞楽【ぶがく】

日本の雅楽一種唐(とう)楽または高麗(こま)楽を伴奏にして舞う舞。〈管弦〉に対する。唐楽を伴奏とするものを左方または左舞,高麗楽を伴奏とするものを右方または右舞という。左方と右方とでは伴奏音楽のほかにも舞の技法装束,使用楽器楽屋,演出法などの違いがあり,それぞれを専門とする舞人による分業制が確立している。→舞楽面
→関連項目演劇襲装束軽業還城楽春鶯囀鉦鼓序破急太平楽大太鼓納曾利陪臚振鼓竜笛陵王

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「舞楽」の意味・わかりやすい解説

舞楽
ぶがく

雅楽の演奏様式の一種。唐楽や高麗 (こま) 楽を伴奏とする舞踊。「管弦」に対する。広義の雅楽に含まれる国風 (くにぶり) 歌舞の東遊 (あずまあそび) ,倭舞 (やまとまい) など儀式音楽の舞は原則としてこれには含まない。奈良時代以降,宮廷社寺の各種行事や法会などに採用され,いわゆる雅楽の最も中心的,重要な部分として継承された。今日,宮内庁楽部のほかいくつかの団体および各地の社寺でこの伝統を受継いでおり,民俗芸能のなかにもその影響を伝えているものがある。舞楽は唐楽を伴奏音楽とする左方と,高麗楽を伴奏音楽とする右方という2つの流儀と伝統から成る。この2つは舞の振り,舞人の登退場の法,装束,面など舞楽作法の全般にわたって対比的に取扱われた。番組編成においては,舞姿の似たものを取合わせて左右の舞を対にする「番 (つがい) 舞」の制がある。また舞容から,4人,6人または8人の舞人が列をなして優雅に舞う「平舞 (ひらまい) 」と,1人,2人の舞人が舞台上を闊達に動き回る「走舞 (はしりまい) 」の2種があり,後者は「走物」とも呼ばれる。また舞具を用いるか否かで「文舞 (ぶんのまい) 」と「武舞 (ぶのまい) 」に分けることもある。今日楽部で演奏される曲数は,左方三十数曲,右方二十数曲である。

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世界大百科事典 第2版 「舞楽」の意味・わかりやすい解説

ぶがく【舞楽】

日本の雅楽のジャンル名。外国渡来の音楽に源をもち,雅楽器の伴奏によって舞を鑑賞するものをいう。公家や楽人が互いに舞を披露してみずから楽しむ目的から発したものであることは,管絃などと変りがない。なお,外来音楽の渡来以前から日本にあった音楽や舞踊,あるいはそのスタイルを模して作られた御神楽(みかぐら)の儀の中の舞,久米舞東遊(あずまあそび)などに関しては,普通は舞楽という呼び方はしない。
[沿革]
 今日の舞楽の源となる楽舞が,中国や三韓,あるいはそれらの地を経由して諸外国から盛んに渡来したのは8世紀前後からであり,当時は,かなり雑多なスタイルと種々の楽器を包含していたとみられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「舞楽」の意味・わかりやすい解説

舞楽
ぶがく

雅楽のうち舞を伴う分野。おもに唐楽(とうがく)・高麗楽(こまがく)をさし、管絃(かんげん)に対する。広義には神楽(かぐら)・東遊(あずまあそび)など神道系のものも含む。唐楽は左方の舞楽、高麗楽は右方の舞楽とされ、両者を交互に舞う「番舞(つがいまい)の制」がある。伴奏の管楽器は舞楽吹(ぶき)と称し、拍節感が明瞭(めいりょう)に示す奏法がとられる。

[橋本曜子]

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旺文社日本史事典 三訂版 「舞楽」の解説

舞楽
ぶがく

平安初期に日本化した雅楽を伴奏として演じる舞踊
神楽の人長舞・久米舞・五節舞などわが国古来のものと,唐舞・高麗舞など外国から伝来のものとがある。寺社や宮廷で行われ,現在宮内庁楽部・春日神社などで保存されている。

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世界大百科事典内の舞楽の言及

【舞台】より

…祭りや神事において,芸能が行われる野外の道・空地・庭や,土間・座敷などを〈舞処(まいど)〉というが,これらの場所も舞台と考えていい。一定の様式をもった建物としての舞台の嚆矢(こうし)は,奈良・平安時代の舞楽の舞台であるといわれている。はじめは唐制を模した舞台の構造だったと推測されるが,平安時代に入ると,しだいに日本化され,方4間(約52.85m2),高さ約1mの高舞台で演じられるようになった。…

【民俗芸能】より

…長年全国を踏査して多くの研究成果をあげた本田安次(1906‐ )は,これを整理して次のような種目分類を行った。 (1)神楽 (a)巫女(みこ)神楽,(b)出雲流神楽,(c)伊勢流神楽,(d)獅子神楽(山伏神楽番楽(ばんがく),太神楽(だいかぐら)),(2)田楽 (a)予祝の田遊(田植踊),(b)御田植神事(田舞・田楽躍),(3)風流(ふりゆう) (a)念仏踊(踊念仏),(b)盆踊,(c)太鼓踊,(d)羯鼓(かつこ)獅子舞,(e)小歌踊,(f)綾踊,(g)つくりもの風流,(h)仮装風流,(i)練り風流,(4)祝福芸 (a)来訪神,(b)千秋万歳(せんずまんざい),(c)語り物(幸若舞(こうわかまい)・題目立(だいもくたて)),(5)外来脈 (a)伎楽・獅子舞,(b)舞楽,(c)延年,(d)二十五菩薩来迎会,(e)鬼舞・仏舞,(f)散楽(さんがく)(猿楽),(g)能・狂言,(h)人形芝居,(i)歌舞伎(《図録日本の芸能》所収)。 以上,日本の民俗芸能を網羅・通観しての適切な分類だが,ここではこれを基本に踏まえながら,多少の整理を加えつつ歴史的な解説を行ってみる。…

※「舞楽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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