精選版 日本国語大辞典 「舵」の意味・読み・例文・類語
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船を操縦する要具。楫、梶、柁とも書く。
古くは船尾付近の舷側(げんそく)で操作するいわゆる操舵櫂(そうだかい)で、これは櫂と同様に約5000年前のエジプトの船の絵に明瞭(めいりょう)に描かれており、その後のギリシア、ローマをはじめとするヨーロッパの船の標準的装備となって13世紀まで主用された。中国では約2000年前までは同様の操舵櫂を使用していたが、1世紀の後漢(ごかん)の時代になると、船体中心線上の船尾に配置する画期的な船尾舵の方式が出現した。これが今日の舵の源流となるが、ヨーロッパでは13世紀になってようやくこの方式が使われるようになった。日本では、縄文時代は舵の使用は確認されていないが、弥生(やよい)時代の銅鐸(どうたく)や土器に描かれた船には操舵櫂が装備されており、発掘船や船型埴輪(はにわ)などでみる限り、古墳時代も操舵櫂が主用されている。中国の先進的な船尾舵の採用の時期はかなり遅れている。『万葉集』には「カヂ」が頻出するが、そのほとんどは推進用のオールである。また舵の存在を思わせることばに「カヂツカ」があるが、舵柄(かじつか)は操舵櫂でも使うことがあり、船尾舵の使用は確定づけられないので、その導入は7世紀以後の中国系ジャンク技術による遣唐使船建造のときまで下るとも考えられる。平安時代になると、『延喜式(えんぎしき)』に船尾舵採用を示唆する条項があり、鎌倉時代には十分普及して、絵巻などに描かれた大型船はすべて船尾舵を装備している。その形状や装備方式は近世の和船のそれに近く、すでに中世に日本式の舵の原型が確立していたことを示している。
近世の日本式の舵は、商船、軍船とも同じ形式で、入港の際は舵をに引き上げるという、水深の浅い港の多い日本の港湾事情を考慮したものであった。しかしこの舵の装着法は堅固でなかったため、荒天時の激浪で破壊されることも多かった。また船体に比して不つり合いな大舵面は、頻繁に港へ出入りする内航船にとっては必要な操縦性を確保し、かつ横風や逆風の際の帆走性能向上に欠かせないものであったが、これもまた荒天時に破壊される一因となっていた。つまりその長所が短所でもあったわけで、効果的な対策が行われないまま明治時代に入り、蒸気船の主用によって今日のような舵が標準化される一方、和船の衰退もあって特徴的な日本式の舵は姿を消した。
[石井謙治]
舵を形状によって分類すると、不釣合(ふつりあい)舵、釣合舵および半釣合舵の3種がある。不釣合舵は、水圧を受ける舵板が舵の回転軸の後方だけにあるが、釣合舵は、舵の面が回転軸の前後にある。帆船時代から長い間不釣合舵が広く用いられてきたが、船が大型・高速化するにつれて、不釣合舵より回転力が少なくてすむ釣合舵が大半を占めるようになった。半釣合舵はこれらの中間的なものである。また構造上から分類すると、舵板が1枚の厚い鋼板でできている単板舵と、骨組の両側に鋼板を張った複板舵とがある。複板舵は、断面が流線形で舵効きがよく、水の抵抗も少ないため、現在はほとんどの船で使用されている。単板舵は、構造が簡単であるが舵効きが悪いので、低速小型船で使用されるにすぎない。舵の上部には鋳物でできた舵頭材があって上方へ伸び、歯車またはチラーとよぶ腕木式の装置によって船内の操舵機へ連結されており、これらによって回転力が舵へ伝達される。
[森田知治]
『石井謙治著『図説和船史話』(1983・至誠堂)』
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…前4000年ころの絵ですでに帆らしいものが認められるが,後世のものはりっぱな横帆をもっている。舵の進化もよくわかる。 エジプトに続いて古代世界に登場する船はクレタ人の船である。…
※「舵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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