出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…付属具については,冑の場合,頸部を守るための錣(しころ)が伴う。甲には,頸鎧(あかへよろい),肩鎧,籠手(こて),草摺(くさずり),臑当(すねあて)などがあり,なかには,草摺のように革製漆塗の例が確認されているものがある。草摺は挂甲の場合,胴部の小札に続けて縅し,一体のものとしてつくっていることが多いが,この小札草摺の部分だけが短甲に付属することがあるというように,本来は挂甲に付属するものが,短甲に伴うこともある。…
…中国の挂甲の歴史は,湖南省長沙左家公山戦国墓出土の革製挂甲や,河南省洛陽西郊前漢墓出土の鉄製挂甲にさかのぼることができる。秦始皇陵の兵馬俑に見る甲の手法は,胴甲を固定的に威(おど)し,草摺(くさずり)と肩甲(かたよろい)とを挂甲の手法で伸縮性をもたせて作ったものである。この挂甲の手法を用いた部分では,下段の小札を上段の小札の上面に重ねていることに注意したい。…
…短甲の特殊型式として,後胴の上部に頸(くび)の背面を保護する襟を設けた襟付短甲は,日本では三角板革綴と三角板鋲留との両者に遺品があり,韓国では竪矧式鋲留短甲の1例が出土している。 なお完備した短甲には,頸のまわりから肩を覆う付属具を用い,裾に草摺(くさずり)を垂下する。前者は頸まわりの部品を頸甲(あかべよろい),頸甲の両側から肩に垂下する部品を肩甲(かたよろい)と呼ぶ習慣があるが,一連のもので二つに分離すべきではない。…
…大鎧の形状は鉄薄板金や革を長方形に切断した小札(こざね)のはしを革で重ね,横に並列してからんだ小札板を,韋(なめしがわ)あるいは組糸で1段1段上下につづりあわせて形成する。立挙(たてあげ)が前2段,後ろは押付板(おつつけのいた),逆(さか)板,三の板の3段とし,衡胴(かぶきどう)(長側(ながかわ))すなわち胴回りは4段にして正面,射向(いむけ)(左脇),背面とつらなり,右脇の引合せの闕(あき)に別に壺板(つぼいた)に蝙蝠付(こうもりづけ)をもって草摺(くさずり)を垂れた脇楯(わいだて)をあてる。胴の正面には弦走韋(つるばしりのかわ)を張る。…
※「草摺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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