精選版 日本国語大辞典 「荒・進・遊」の意味・読み・例文・類語
すさ・ぶ【荒・進・遊】
[2] 〘他バ上二〙 心のおもむくままに物事をすすめる。慰み興ずる。もてあそぶ。他の動詞と複合して用いられることが多い。
※源氏(1001‐14頃)絵合「ゑは、猶、ふでのついでにすさびさせ給あだごととこそ、おもひ給へしか」
[3] 〘自バ五(四)〙
※成唯識論寛仁四年点(1020)六「深く染著を生して、酔ひ
(スサフ)をもて性とす」

② 勢いが尽きて衰える。進み果てて止む。
※白氏文集天永四年点(1113)四「上荒(スサヒ)(〈別訓〉まとひ・あれ)下困みて、勢久しからじ」
③ 心を奪われておぼれる。ゆとりがなくなって荒れる。
④ 肌などがなめらかでなくなる。荒れる。すさむ。
※街の物語(1934)〈榊山潤〉「風邪をひいた時のやうに皮膚が荒(スサ)び」
[4] 〘他バ四〙 心のおもむくままに物事を進める。慰み興ずる。もてあそぶ。
※平中(965頃)三一「さて、すさびて、やみにけり」
※新古今(1205)夏・二五六「窓ちかき竹の葉すさぶ風の音にいとどみじかきうたたねの夢〈式子内親王〉」
すさび【荒・進・遊】
〘名〙 (動詞「すさぶ(荒)」の連用形の名詞化)
① 心が特定の方向にいよいよ進むこと。また、心を、そのおもむくままにまかせること。
※古今六帖(976‐987頃)五「ある時はありのすさひに語らはで恋しきものと別れてぞ知る」
※源氏(1001‐14頃)葵「心のすさびにまかせてかくすきわざするは」
② 心のおもむくままにする慰みごと。慰みとして興ずること。もてあそび。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
※源氏(1001‐14頃)帚木「はかなきすさびをも、人まねに心を入るる事もあるに」
※日葡辞書(1603‐04)「フデノ susabi(スサビ)」
すさみ【荒・進・遊】
〘名〙 (動詞「すさむ(荒)」の連用形の名詞化)
① 心のおもむくままにすること。慰みごと。
※聞書集(12C後)「うなゐこがすさみに鳴らす麦笛の声におどろく夏の昼ぶし」
② いとなみ。仕事。
③ 荒れること。
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