干菓子の一種で打(うち)菓子、打物(うちもの)菓子ともいう。糯米(もちごめ)、粳米(うるちまい)、そば、大豆、小豆(あずき)、大麦、小麦などを製粉し、砂糖、水飴(みずあめ)などを加えて練り、型に入れて押し、焙炉(ほいろ)で乾燥させたもの。落雁の名は中国の菓子名の軟落甘(なんらくかん)からとったといわれる。1708年(宝永5)刊の『朱子談綺(だんき)』に、軟落甘は糕(こう)の名であるとされているところからも、当初は白雪糕(はくせっこう)の形態であり、文字どおり軟らかい落雁であった。落雁は文明(ぶんめい)年間(1469~1487)に山城(やましろ)国壬生(みぶ)(京都)の住人板倉治部(じぶ)によりつくられた。糯米を蒸し、陽光にさらして臼(うす)で搗(つ)き、甘味を加えた一寸四方の打物の表面に黒ごまを散らした菓子で、治部はこれを後土御門(ごつちみかど)天皇に献上し、帝(みかど)は菓子の姿を白雪に雁(がん)の舞い下りた風景に見立てたので、「落雁」と名づけられたという。また献上の栄誉をたたえて御所落雁の菓名となった。この菓子は治部が本願寺蓮如(れんにょ)に従ったことから北国に伝わり、いまでは富山県南砺(なんと)市の名物である。さらに1625年(寛永2)には石川県金沢市の「長生殿」が完成して、落雁では最高級とされた。今日では和三盆糖を用いた典雅な菓子である。有名落雁には京都市のお千代宝(ちよぼう)、名古屋市の二人静(ににんしずか)、長野県小布施(おぶせ)町のそば落雁、福井県敦賀(つるが)市の豆落雁、群馬県館林(たてばやし)市の麦落雁、埼玉県川越市の初雁城(はつかりじょう)、秋田市の秋田諸越(もろこし)がある。また軟落雁では長崎市の口沙香(こうさこう)、島根県松江市の山川、菜種の里、新潟県長岡市の越乃雪(こしのゆき)、宮城県塩竈(しおがま)市の「しおがま」などがあげられる。
[沢 史生]
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