精選版 日本国語大辞典 「葉」の意味・読み・例文・類語
よう エフ【葉】
は【葉】

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植物の器官の一つ。普通は茎の周りに規則的に配列し、光合成を行う扁平(へんぺい)な形をもつ緑色の器官である。しかし、なかには光合成の機能をもたない葉、扁平ではない葉などさまざまなものがある。
[原 襄]
(1)葉身・葉柄(ようへい)・托葉(たくよう) 光合成を行う緑色の葉を普通葉とよぶ。普通葉には、葉身と葉柄と托葉の三つの部分が区別されるが、このすべての部分を備えている葉を完全葉、このうちの一つまたは二つの部分を欠く葉を不完全葉とよぶ。葉身は、普通、平面的な形で日光を受けやすく、葉の主要な働きである光合成を活発に行う部分である。葉柄は茎と葉身を連絡する部分であるとともに、この部分がその成長過程で適当にねじれて、葉身を日光のくる方向に向ける働きももつ。托葉はシダ植物や裸子植物にはなく、被子植物のうち、とくに双子葉植物に多くみられる。普通、托葉は葉の基部に1対あり、若い葉身を保護する役割をもつと考えられるものが多い。また、葉の基部の托葉に相当する部分が葉鞘(ようしょう)となるものも多く、葉鞘と托葉との関係が問題とされることもある。
(2)単葉と複葉 葉は、葉身の部分の形から、単葉と複葉とに区別することができる。単葉とは葉身が一つの葉状の部分からなる葉であり、複葉とは葉身が複数の葉状の部分、すなわち小葉に分かれている葉をいう。一般に葉柄から葉身の中央を通って葉の先端に至る部分を葉軸というが、複葉のうち、葉軸を挟んで複数の小葉が左右に並ぶものを羽状複葉といい、このうち、先端に小葉のつくものを奇数羽状複葉、先端に小葉がないものを偶数羽状複葉とよぶ。また、葉柄の先端に小葉が放射状に三つ以上つくものを掌状複葉とよぶ。
複葉の小葉の1枚と単葉の1枚とはよく似ている場合がある。とくにフジ、バラなどの奇数羽状複葉は1本の枝につく単葉と似ている。しかし、単葉であるか、複葉の小葉であるかの区別は、腋芽(えきが)によって知ることができる。腋芽は1枚の葉の葉腋につくものであり、小葉と単葉は、腋芽のつく位置、葉柄と茎との組織の相違などによって区別できる。
単葉の葉身、小葉の小葉身には線形、針形、円形、卵形などさまざまな形がある。また、葉の周縁に鋸歯(きょし)(ぎざぎざ)のあるもの、欠刻(切れ込み)のあるもの、鋸歯も欠刻もないもの(全縁とよばれる)などがある。なお、一つの個体に形や大きさの著しく異なる葉があるとき、これを異形葉とよぶ。
(3)葉脈 葉には、葉の中における物質の移動に役だつ葉脈がある。葉脈は次のように大別される。おもな葉脈から比較的細い葉脈に至るまで葉脈が網目をつくる場合を網状脈とよび、このうち、おもな脈が羽状となる場合を羽状脈、おもな脈が掌状に分かれる場合を掌状脈とよぶ。また、おもな葉脈が平行となる場合を平行脈、葉脈が二又に分かれることを繰り返す場合を二又脈とよぶ。網状脈は双子葉植物に多く、平行脈は単子葉植物に多い。また、二又脈は、多くのシダ類と裸子植物のイチョウにみられる。
(4)葉の組織 普通葉が光合成を行うことから、普通葉の組織には、光合成を行う葉緑体を顕著にもつ葉肉(葉肉組織)が目だつ。もっとも普通の場合、葉の横断面をつくってみると、いちばん上に上側の表皮、その下に葉肉組織の一つである柵状組織(さくじょうそしき)、ついで同じく葉肉組織の海綿状組織、そしていちばん下に下側の表皮がある。表皮のところどころには気孔があり、特別の形をもった二つの孔辺細胞に囲まれている。気孔は葉の下側に多い。孔辺細胞の働きによって気孔が開閉し、光合成、呼吸、蒸散といった植物体内と外界との間のガス交換が行われる。葉肉組織の細胞間には、豊富な細胞間隙(かんげき)(空気間隙)があり、葉の組織の細胞はこの間隙と気孔を通して外界との気体の交換を行うことができる。
[原 襄]
葉には、普通葉のほかに、植物体の最初の葉である子葉、シュート(苗条(びょうじょう))の比較的下につく低出葉、シュートの上のほうにつく高出葉がある。芽を包む鱗片(りんぺん)葉は低出葉の一つであり、花を葉腋に抱く包葉は高出葉である。花の構成要素である萼片(がくへん)、花弁、雄しべ、心皮も葉に類するものと解釈することができる。このように、普通葉をはじめとして葉に類するものをまとめて葉的器官とよぶことがある。サボテン類の針は形態学的には短枝の葉に相当するとみられるところから、葉的器官の一つとして扱われ、葉針とよばれる。メギの針も葉針である。しかし、ニセアカシアの針は托葉に相当するものであり、エンドウの巻きひげは葉身の一部に相当する。
[原 襄]
幼い葉は、芽の中で、種類によってさまざまな形に巻いている(幼葉態という)が、芽の展開に伴って平面的な形となるのが普通である。展開のあとの普通葉の寿命は、落葉樹であれば春から秋の紅葉までの期間であるが、常緑樹では1年から数年のものまでとさまざまである。マツ属のある種では、針状葉が40年近くも生きていると報告されているし、アフリカの砂漠に生育する風変わりな裸子植物であるウェルウィッチアは終生伸び続ける1対の葉をもち、しかも、それが1000年を超える寿命をもつといわれている。
[原 襄]
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…シダ植物と顕花植物(両者を合わせて維管束植物という)の体の部分のうち,葉や芽をつける軸状構造の器官である。樹木の幹は主茎が二次肥厚したものでその顕著な例は屋久杉やセコイアの巨木にみられるが,一方シダ植物の根茎のように地中にあって目立たないものもある。…
… 動物と植物の差を簡単に定義することは難しい。動物は従属栄養で,自然界の物質循環の消費者,分解者の地位を占めるが,植物のうちでも,菌類は葉緑素をもたずに従属栄養の生活をしており,基本的には分解者である。被子植物のうちにも,ギンリョウソウやツチトリモチのように,二次的に腐生あるいは寄生生活をするようになったものがあり,すべてが生産者であるとはいいきれない。…
…
[袈裟]
袈裟の本旨は,粗末な端裂(はぎれ)をはぎ合わせた僧衣ということなので,その精神を形に示して,数枚の裂をつないで作った一条をさらに数条ならべて縫った形をとる。そのつなぎ目の部分と四周の部分に別の裂を配したものが多く,前者を葉(よう),後者を縁(えん)と称し,縁葉に囲まれた部分を田相(でんそう)また甲(こう)と称する。なお,全部同じ裂で作った無地のものや,つなぎ目に金色,朱色などの線を配しただけのものもあり,禅系諸宗では多くこれらを用いる。…
※「葉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
少子化とは、出生率の低下に伴って、将来の人口が長期的に減少する現象をさす。日本の出生率は、第二次世界大戦後、継続的に低下し、すでに先進国のうちでも低い水準となっている。出生率の低下は、直接には人々の意...
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