薄膜(読み)はくまく

精選版 日本国語大辞典 「薄膜」の意味・読み・例文・類語

はく‐まく【薄膜】

〘名〙 うすい膜。
解体新書(1774)二「其次者脂矣。白如油。在薄膜為細嚢、名脂膜

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デジタル大辞泉 「薄膜」の意味・読み・例文・類語

はく‐まく【薄膜】

うすい膜。うすまく。「薄膜トランジスター」⇔厚膜
[補説]多く生物器官などを覆うものは「うすまく」、蒸着などにより作られる化学的なものは「はくまく」と読む。

うす‐まく【薄膜】

はくまく(薄膜)

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化学辞典 第2版 「薄膜」の解説

薄膜
ハクマク
thin film

透過型電子顕微鏡の試料となる1 nm から0.1 μm の厚さの試料をいう.それ以上は厚膜とよぶ研究者もいるが,100 μm でも薄膜とよぶこともあり,厳密に定義されているわけではない.ただし,1 mm 以上は膜ではなくバルク(かたまり)である.電子機器の軽量化に伴い,薄膜電極,薄膜半導体などの開発が進み,薄膜という用語が従来の金属はくや人工膜にかわって用いられるようになった.生体膜に関連深いLB膜も薄膜の一種である.薄膜を気相から作製するには真空装置を必要とし,目的とする薄膜構造によって真空度も違ってくる.真空蒸着法(10-4 Pa,島状構造),スパッタリング法(0.1~10 Pa,多結晶化),化学蒸着法(0.1~1 Pa,単結晶化)などがある.有機化合物の薄膜をつくるには,上述のほかに,プラズマ重合法や分子線エピタキシー法などがある.また,液相から作製する方法には,上述のLB法や酸化膜をつくるための陽極酸化法などがあり,従来からの溶液塗布や電気めっきなどとともに,それぞれの特徴が利用されている.

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百科事典マイペディア 「薄膜」の意味・わかりやすい解説

薄膜【はくまく】

〈うすまく〉とも。固体表面の上に気相が凝縮して形成された層。厚さの上限は10μmくらい。材料により金属薄膜,半導体薄膜,絶縁体薄膜などがある。レンズコーティングに用いる光学薄膜がよく知られているが,最近はダイオード,トランジスター,集積回路などの電子部品,コンピューター記憶素子に用いる磁性薄膜,クライオトロンに用いる超伝導薄膜など,広範囲に応用されている。薄膜を使う電子部品は,小型軽量で大電力が扱え,高周波特性がよく,丈夫で材料が少なく量産可能などの利点がある。膜はふつう真空蒸着で作るが,スパッタリングsputtering,熱分解蒸着なども利用される。

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世界大百科事典 第2版 「薄膜」の意味・わかりやすい解説

はくまく【薄膜 thin film】

〈うすまく〉ともいい,コーティングcoating,あるいは単に膜などとも呼ぶ。類語として,foil,layerがあるが,現在は,前者には箔,後者には層という訳語がつけられている。広義には,日常感覚で薄いと考えられる物体すべての総称であり,したがって,シャボン玉,水の上に広がった灯油,包装用プラスチック,アルミ箔なども薄膜と称されることもあるが,学術用語としては,以下に述べるようにやや限定された使い方がなされる。

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世界大百科事典内の薄膜の言及

【薄膜】より

…類語として,foil,layerがあるが,現在は,前者には箔,後者には層という訳語がつけられている。広義には,日常感覚で薄いと考えられる物体すべての総称であり,したがって,シャボン玉,水の上に広がった灯油,包装用プラスチック,アルミ箔なども薄膜と称されることもあるが,学術用語としては,以下に述べるようにやや限定された使い方がなされる。すなわち,薄膜とは固体(まれには液体)表面上に気相が凝縮して形成された物体(一般には固体。…

※「薄膜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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