江戸時代、大坂に設けられた国問屋の一つ。1630年(寛永7)大坂阿波座(あわざ)(大阪市西区)に新堀が開削され、幕府の要請により薩摩藩が同堀(薩摩堀と改称)一帯を自国物産回着地と定め、同堀開発者の薩摩屋仁兵衛(にへえ)と鍋屋宗円(なべやそうえん)を国産荷物売買の取締に任じたのが薩摩問屋のおこりである。その後鍋屋は断絶したが、問屋数は正徳(しょうとく)年代(1711~16)には7軒、安永(あんえい)年代(1772~81)には20軒、幕末には30軒を数えた。薩摩藩領国産品である砂糖、蝋(ろう)、乾物、煙草(たばこ)、鰹節(かつおぶし)などのほか琉球(りゅうきゅう)産品や琉球を経由する唐物などを取り扱った。取引方法は、一定の販売手数料の契約の下に、荷主から委託を受けた物品を販売する荷受問屋的なものが多かった。
[宮本又郎]
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