藤村詩集(読み)とうそんししゅう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「藤村詩集」の意味・わかりやすい解説

藤村詩集
とうそんししゅう

島崎藤村詩集。 1904年刊。『若菜集』 (1897) ,『一葉舟』 (98) ,『夏草』 (98) ,『落梅集』 (1901) の合本。巻頭に「遂に新しき詩歌の時は来りぬ」に始る序文を付し,明治浪漫主義の最初の開花を鮮かに誇示した詩集。伝統の詩語や韻律を生かしながら,近代的自我基底とした官能の解放,恋愛賛歌,唯美的芸術賛美の感情をうたい,生活的,現実的な詩風に変っていく過程もうかがわれる。藤村は本集刊行以後は詩から散文に移った。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

五節舞

日本の上代芸能の一つ。宮廷で舞われる女舞。大歌 (おおうた) の一つの五節歌曲を伴奏に舞われる。天武天皇が神女の歌舞をみて作ったと伝えられるが,元来は農耕に関係する田舞に発するといわれる。五節の意味は...

五節舞の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android