尾崎一雄(かずお)の短編小説。1948年(昭和23)1月『新潮』に発表。同年12月、留女(るめ)書房刊行の短編集『虫のいろいろ』に収録。病中の「私」によって観察された蜘蛛(くも)や蠅(はえ)、蚤(のみ)や蜂(はち)などの小動物の習性や生命力と「私」の心境を重ね合わせ、生と死についての深い考察をユーモラスな筆致も交えて描いた作品。志賀直哉(なおや)の『城(き)の崎(さき)にて』を意識しつつも、死に直面した尾崎の病をねじ伏せる勢いが感じ取られる哲学的な心境小説。前期の『暢気眼鏡(のんきめがね)』とともに後期の尾崎文学屹立(きつりつ)の代表作。この作品を書き上げることによって大病を克服、故郷小田原郊外の下曽我(しもそが)の地を根拠にし、晩年の「軽み」を含んだ作風へと転じていった。
[紅野敏郎]
『『尾崎一雄全集3』(1982・筑摩書房)』▽『『昭和文学全集11 尾崎一雄他』(1988・小学館)』
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