血中に含まれた薬物や有害物質が脳に入るのを防ぐ人体の機能。脳に必要な栄養素を取り入れる役割もある一方で、他の物質は脳に入らないようにしているため、アルツハイマー病やパーキンソン病などの治療薬の開発では、薬剤が有害物質とみなされないようにして、この関門を突破し、脳内に到達させる方法を見つけるのが課題となっている。
更新日:
出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
略称BBB。血液-中枢神経(脳と脊髄)組織間の物質(酸素,炭酸ガス,水を除く)の移動速度は他の組織にくらべて著しく低い。色素,毒素,ウイルスなどはまったく透過しない。このことから,中枢神経の毛細血管と神経細胞の間には,なんらかの透過障壁があると考えられており,この障壁を血液脳関門という。血液脳関門は中枢神経細胞の外液を恒常的に保つための保護機構と考えられている。しかし一方,多くの抗生物質などがこの関門を通りにくいことは,中枢神経感染症治療の妨げともなっている。血液脳関門は出生時には発達不十分であり,成長とともに完成する。脳でも,脳室周囲器官(松果体,脳下垂体後葉,最後野,視神経上稜,脳弓下器官)にはこの関門は存在しない。これらの器官のあるもの(たとえば脳下垂体後葉)は神経細胞が分泌した物質を血中に入れる働きをもち,あるもの(たとえば最後野)は化学受容器である。したがって,それぞれの機能を果たすためには血液脳関門がないことが必要である。
執筆者:東 健彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…麻酔剤や睡眠剤,トランキライザーなどの薬剤が脳に作用するのは,脳組織の働きがそもそも多彩な化学的過程に支えられているためである。
[血液脳関門]
脳組織と血管の間には物質の移動を妨げる一種の関門がある。グルコースや酸素は脳内に自由に移行するが,一般に高分子のタンパク質や脂質,アミノ酸,リン酸,ナトリウムイオンNa+などは脳内に入りにくい。…
※「血液脳関門」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新