デジタル大辞泉 「血脈」の意味・読み・例文・類語
けつ‐みゃく【血脈】
2 血のつながり。血すじ。血統。けちみゃく。「源氏の
3 ⇒けちみゃく(血脈)2・3
[補説]書名別項。→血脈
[類語]家系・家筋・血筋・血統・血・筋目・毛並み・家門・一門・一族・血族・
けち‐みゃく【▽血脈】
「―ガ絶エル」〈和英語林集成〉
2 師から弟子へと代々、仏法を正しく伝えること。また、その仏法
3
仏教用語。〈けつみゃく〉ともいう。教法が師から弟子に伝えられること(師資相承)を,身体の血管に血が流れるのにたとえて,その持続性と同一性をあらわすもの。その事実を文書に図示するのが特色で,系譜は朱線で示されることが多い。宗派の教理を伝えた系譜を宗脈または法脈といい,戒を伝えた系譜を戒脈という。教法の相承を〈血脈を白骨にとどめ,口伝を耳底に納む〉などと表現する。天台宗,真言宗では師弟の面授口訣を重んじ,その付法のあかしとして血脈系譜を授けた。禅宗,浄土宗,日蓮宗などでも重視する。禅宗では,初祖達磨のものという《血脈論》があり,血脈,嗣書,大事を三脈とよぶことがある。また,最澄に《内証仏法相承血脈譜》,道元に《血脈図》があり,浄土真宗に《血脈文集》がある。なお,在俗の結縁(けちえん)者にも簡単な血脈が授けられることがあり,死後それを遺骸とともに棺に納める風習も古くからある。
執筆者:伊藤 唯真+柳田 聖山
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
一般には親族としての血のつながり、血統の意であるが、仏教では師から弟子へと連綿と教法が伝えられることを血のつながりに喩(たと)えて血脈相承(そうじょう)という。自己の継承した法門の正統性と由緒正しさとを証明するものとして、とくに中国、日本で重要視された。また相承の次第を記した系図そのものをも意味し、師は法を授けた証(あかし)として弟子にその系図を与えた。日本では仏教以外に芸道や連歌(れんが)、俳諧(はいかい)などでも同様の意で用いる。
[藤井教公]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…宗派の教理を伝えた系譜を宗脈または法脈といい,戒を伝えた系譜を戒脈という。教法の相承を〈血脈を白骨にとどめ,口伝を耳底に納む〉などと表現する。天台宗,真言宗では師弟の面授口訣を重んじ,その付法のあかしとして血脈系譜を授けた。…
…仏陀の滅後,特定の弟子に教法や戒律を伝えたのに始まり,中国で宗派が成立すると,各派それぞれに列祖の相承を説くようになる。天台の金口,今師,九師の三種相承は,その代表であり,経典によらない禅は,西天二十八祖と唐土の六祖を立て,相承の物証として,衣や鉢の伝授を主張するが,別に真理の言葉としての伝法偈や,正法眼蔵の相承を説いて,伝灯,血脈,または逓代伝法とよぶ。いずれも,秘伝を重んじ,師の印可を第一とするとともに,これを証する印可状の製作を伴うに至る。…
…浄土宗ではこれに加行を課する。天台宗では最澄の《内証仏法相承血脈(そうじようけちみやく)譜》があって,相承(そうじよう)と呼んでいるが,いずれも伝法には血脈(けちみやく)がつくのが仏教伝法の特色である。これは現在の伝法が教主釈尊,または各宗祖師から,血統のごとくに相続されてきたものを伝えるのだという意識を表明するからである。…
…〈贈晋氏其角書〉〈贈落柿舎去来書〉〈答許子問難弁〉〈再呈落柿舎先生〉〈俳諧自讃之論〉〈自得発明弁〉〈同門評判〉から成る。去来は“不易流行”論,許六は“血脈”説を前面に打ち出して論をたたかわせており,蕉風俳論書として第一級の価値をもつ。1785年(天明5),浩々舎芳麿により《俳諧問答青根が峰》として出版され,1800年(寛政12)《俳諧問答》の題で再版された。…
…それゆえ仏教では,祖々仏々として法の伝授は特に重視された。釈迦―十大弟子―各宗の祖師―弟子への系譜を,禅宗や密教で血脈(けちみやく)と称するゆえんもここにある。この系列の美術に羅漢像や祖師像などの肖像や,僧侶自身の墨跡がある。…
※「血脈」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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